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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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よなりさま

 深夜、男が寝ていると外から異音が聞こえてくる。

 甲高い、キィィィィイィィと言う音が。

 少なくとも生物が発している音ではない。

 何か工場の大きな機械が発するような、そんな甲高い音だ。


 男もその音の出どころが、何かの機械と思っていた。

 深夜なのに迷惑な、そう思っていた。


 毎日鳴る訳ではないが、二週間に一度くらいの感覚で音が、甲高い異音が真夜中に鳴る。


 音が聞こえ始めて数カ月が過ぎたくらいだ。

 毎日鳴るわけでもない、それほど頻繁に鳴るわけでもないので男もそれほど気にしてなかった。


 とある町内会の催し物で、男は町内会の老人達が話してしているのを聞いた。

 あまり見たことのない老人達だ。

 普段は家の中に引きこもっているのかもしれない。

 それくらいしわくちゃの老人達だ。男か女かもわからないような。

 そんな老人達が人形のように並んで話している。

 

 その老人達はあの夜の異音について話している。

 ヨナリサマがどうのこうのと。

 男はその話をこっそりと盗み聞く。


 あの異音はヨナリサマと言うこの地方に古くから住んでいる神様のような存在だと老人達は言うのだ。

 ここしばらく、数十年の間、ヨナリサマは出てこなかったのでもういなくなったとそう考えられていたらしい。

 

 なんだか興味深い話だと男は思い更に聞き耳を立てる。


 ヨナリサマを沈めるために捧げ物をしないといけないらしい。

 捧げ物が何か、それは老人達の話には出てこなかった。


 ただあまり良い神様ではないのか、ほって置くと怒るかもしれない。

 怒るとこの辺りに災いが降りかかるかもしれない、そんなことも話していた。

 ただ老人達はどうするかと迷いはしているようだが、何か行動を起こすようなことはしないようだった。


 もう何カ月も前から聞こえているのに悠長な、と男が思っていると町内会の老人達はいつの間にかに解散したのか居なくなっていた。


 男はそのヨナリサマのことが気になりだし、調べるが何もわからない。

 この地方にそんな神様がいたという記録などもない。


 男は仕方がないので、隣人の老夫婦にヨナリサマについて聞くことにした。

 老夫婦はその話をどこで? と聞かれたので男は、老人達のことを素直に話した。


 そうすると老夫婦も納得する。

 そして、男に告げる。


 その老人達がヨナリサマだと。

 その時、その老人達に話しかけていたら連れていかれたと。

 話しかけないで良かったな、この話はもうするな、とそう言われた。

 もうこの話はするな、忘れろ、とも。

 

 男が最後に、ほっておいて平気なんですか? と問うと、向こうからは手出しはしてこない、こちらから関わらない限り平気だ、とそう言って老夫婦は微笑んだ。




よなりさま【完】

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