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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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かっぱ

 少年達は子供の頃、川で河童を見た。

 まだ開発されていない森。

 けれども、森のすぐそばには大きなマンション群が建てられているような、そんな自然と人との境の場所。


 そこに流れる小さな川。

 いや、正確には排水用の水路だったかもしれない。

 あまり綺麗な川ではなく、流れる水も緑色で臭いも酷い川だ。


 そんな川で少年達は河童を見た。


 夕暮れの時間、森で友人らと遊んでいて少年達は、その川に浸かっているいる存在を目にする。


 少年達はそれを見て河童だと思ったのには理由がある。

 少年の友人の一人が、河童だ、とそう叫んだからだ。


 それで少年らはそれを河童だと思い込んだのだ。

 実際にそれが河童だったのかどうか、少年たちは知る由もない。


 それを見たのは最初で最後だったからだ。


 それは川に半身を浸かっていた。

 あまり綺麗な川ではないため、河童の下半身がどうなっていたかはわからない。

 上半身は裸だ。

 河童なので当たり前だ。


 少年達の曖昧な記憶では頭の上に皿はなかった。

 いや、皿はあったと言う者も居る。

 少年らの記憶は曖昧だ。

 なぜなら少年らは河童を見るとすぐに逃げ出したからだ。


 とりあえず口は嘴にはなっていなかった、と言うのは全員そう言っている。

 そして、河童は最初笑顔だったそうだ。


 でも、それだけだ。

 この話はそれで終わる。


 あと一つだけ、付け加えるなら、近所の幼い子供が一人行方不明になったという話だ。

 河童の仕業かもしれない。



 

かっぱ【完】

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