がいこくのえほん
少年は親戚のおばさんから外国の絵本を貰った。
もちろん、それは日本語で書かれてはいない。
少年には読めなかった。
とはいえ絵本だ。
書いてある文字が読めなくとも見て楽しむことができる。
その絵本は幽霊船の本だった。
様々な幽霊を避け、最後に骸骨の船長を出し抜いて財宝を手に入れる、そんな感じのストーリーだった。
ただ一ページ。
見開きで大きな髑髏が描かれているページがある。
そこだけ妙にリアルで、それまでの絵本との絵のタッチがまるで違う。
そのページだけ鉛筆でスケッチしたような、そんなリアルな髑髏が描かれている。
少年にはとてもインパクトがあったのでそのことを覚えていたし、何度も見ていた。
少年が大人になり、男となった。
大人になり実家から出るとき、部屋を整理しているとその絵本が本棚の奥から出てきた。
男は懐かしいと思いと共に絵本を見る。
書かれている外国語は大人になった今でもわからない。少なくとも英語ではない。
どこの国の言語だとう、と思いつつも男は絵本を読み進めていく。
客船が幽霊船と出会うところから始まり、主人公の少年と少女が幽霊船を探検すると言った内容だ。
骨だけの船員、主人公に目掛けて突っ込んでくるベッド、食堂で踊るゴースト。
どれも男の記憶通りだ。
そして、最後に骸骨の船長が出てきて、それを機転を利かせ出し抜いて幽霊船の財宝を得る。
そこで絵本は終わっている。
男は不思議に思う。
リアルな髑髏のページがないと。
骸骨の船長と出会う直前のページに記憶ではあったはずなのだがそんなページはない。
男は一ページ一ページ、丁寧にめくり見ていく。
だが、そんなページはないし、ページの通し番号も抜けはない。
記憶間違いか、と思い男は両親にも聞いてみるが、そういやあったな、くらいの話で別の本じゃないのか、と言われた。
だが、確かにこの本だったはずだ。
もう一度、男はその絵本を見返すがやはりない。
男は腑に落ちないが、そう言うこともあるだろうと、その絵本をゴミとして出しておいた。
その後、ゴミとして捨てられるはずだったその絵本は両親に見つかり、拾われて親戚の子に渡っていった。
それから一、二年してその親戚から男は聞かれる。
なんでこの絵本は気持ち悪い髑髏のページがあるのかと。
がいこくのえほん【完】




