あせのなかにめ
汗の中に目が入った。
逆ではない。
目の中に汗が入った、そう思う人は多いかもしれない。
だが、これは汗の中に目が入った、いや、流れ出てしまった話だ。
少年が昼寝をしていると、急にものすごい汗をかいた。
体調が悪く寝ていたので、そのせいなのかもしれない。
とにかくすごい汗をかいた。
それで少年の体調も幾分か良くはなった。
ただすごい汗をかいたので、少年はシャワーを浴びようとベッドから起きた。
視界が変だ。
ぐわんぐわんと視界がうねっている。
やはりまだ体調がすぐれないのか、と少年は思ったが今はシャワーを浴びてさっぱりとしたかった。
だから、脱衣所までなんとかたどり着いた。
脱衣所の鏡を見て少年はパニックを起こす。
目が本来あるべき場所から、とろけ出るように、汗で溶けだすように、流れ出た汗の中に目までもが流れ出ていたのだ。
これでは視界がぐわんぐわんとうねるはずだ。
少年は、叫び声をあげて、その場にしりもちをつき、そして、跳ね起きる。
そこはベッドの上だ。
悪い夢を見ていた。
少年はそう思ったのだが、視界がぐわんぐわんとうねっている。
急いで、鏡のある脱衣所まで行くと、そこで見たものに……
あせのなかにめ【完】




