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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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かみのけ

 男が会社で仕事をしていた。

 今日は朝からずっとパソコンとにらめっこをして、書類を作っている。

 目が疲れたと、男は座っていた椅子の背もたれに体を預けて一息つく。


 そこで気が付く。


 パソコンのモニター、その下にカツラが置いてあることに。

 男は朝にデスク周りを軽く掃除するので、朝にはなかったはずだ。


 しかも、カツラにしては少し不可解だ。

 太いくせ毛で嫌なてかり方をしている。

 こんな髪質の人間が会社にいたかと、考えるが思い浮かばない。


 少し油っぽくて触るのも嫌だったが、このままにもしていられない。

 男は少し気まずそうに立ち上がり、あの、どなたかカツラを落とされませんでしたか? と、声を上げる。

 一斉に社員が男に注目する。

 男も少し考えずに行動しすぎたか、と反省する。

 すぐに隣の席の先輩が男のデスクを覗き込む。

 男はモニターの下を指さす。


 そこには黒く油でてかるもじゃもじゃのカツラが確かに落ちている。


 それを見た先輩も嫌そうな顔をする。

 そのカツラは見るからに汚らしい。


 ただ、男も先輩もこの会社にカツラなんて使っている人間を知らない。

 しばらく男と先輩が話していると、上司が様子を見に来る。

 カツラごときで、と上司は思っていたが、男のデスクにあるカツラを見て、これは確かに気持ち悪いかもしれない、とそう思った。


 ただ現状は名乗り出にくいかもしれない、給湯室にでも置いといてやれ、と上司は男にそう言った。

 男も確かに、とそう思いティッシュを三枚重ねて、そのカツラを掴む。

 すると、白い小さな虫がぞろぞろと出てくる。

 男は、ヒィ、と悲鳴を上げてカツラを手放してしまう。


 結局、そのカツラは事務のお局がビニール袋にしまい込み、きつく縛り上げたうえで給湯室ではなく、休憩スペースに置かれることになった。

 男はカツラから出てきた白く小さい虫、恐らくはシラミが頭から離れず、仕事にならなかった。


 男は昼休みのうちに防虫剤を買ってきて自分のデスクに撒く。

 それでやっと仕事が手につくようになった。

 また、男が帰るころには休憩室のカツラはなくなっていた。

 

 だが、問題は次の日だ。

 男が出社すると、事務所が騒がしい。

 男が自分のデスクに行くと、モニターの下にカツラが、昨日のあの不気味なカツラが落ちているのだ。


 男はあからさまに嫌な顔をする。

 今日、最初に会社に来たのは鍵を持っている社長だ。

 そして、そのカツラは社長が発見したものだし、社長も昨日のことは知っている。


 では、昨日の夜、最後に帰った人物は、三人で全員まとまって帰っている。

 帰るときにはカツラなどなかったと、三人が三人とも証言している。


 男はカツラをビニール袋に入れる。

 だが、その時に気づく。


 縮れた髪の毛が、モニターの内部へと続いていることに。

 男が慌てて、モニターをデスクから降ろし、その場でねじを外しカバーを取る。

 すると、なぜかそのモニターの内部にぎっしりと油ぎった縮れた髪が入っていたのだ。

 小さく白い虫も所狭しと蠢いている。


 そのモニターはその日のうちに捨てられることとなった。


 それから男はノイローゼになってしまい、その会社を辞めた。

 それ以来、その会社ではおかしなことは起きない。


 だが、会社を辞めた男がどうなったかは誰も聞き及んでいない。







かみのけ

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