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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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ななふしぎ:07

 この中学に赴任してきたばかりの教師は聞かされた。

 この中学には七不思議が存在していると。


 七不思議。

 全部知ってしまうと何が起きるんでしょうね。


 新任のまだ若い教師は職員室で残業をしていた。

 時計の針は夜九時を回っている。


 教師はため息をしながら仕事をする。

 先輩の教師たちが帰っていく中、新任の教師が一番最後になった。


 時計の針が十時を回った頃、やっと今日の仕事が終わる。

 真面目な教師は念のため、軽く見回してから帰ろうと、校舎内を見回る。


 職員室を出たところで、中庭の池が見える。

 特に異常はない。


 階段を上がり四階を見回る。

 特に異常はない。


 特別棟へ行き音楽室も見回る。

 特に異常はない。


 部室棟へ行き各部室も見回る。

 特に異常はない。


 放送室へ行き見回る。

 特に異常はない。


 最後に、最近閉鎖された女子トイレの前を通る。

 特に異常はない。


 職員室に教師は戻る。

 そこに人がいた。

 黒い和服を着た男がいた。

 男は白いお面をかぶっていた。


 教師は不審者だと思い、誰ですか、と声をかける。

 黒い男は答えない。


 ただ能面のような白いお面を教師の方へ向けた。

 そして、一瞬のうちに男の前まで移動する。


 教師は恐怖で息をすることも忘れてその能面のようなお面を見続けた。

 黒い和服の男からは線香のような、そんな匂いがする。


 しばらくその男が教師を見た後、忽然とそれは消えた。

 まるで最初から何もなかったかのように消えた。


 翌日、そのことを他の先生達に話すと、大慌てとなった。

 若い教師は校長に呼び出され、すぐさま転勤を言い渡された。


 なんでも、その黒い和服の男は死神のような存在で、それを見てしまうと近いうちに連れていかれてしまうそうだ。

 幸い、その死神はこの中学から出られないので、もうこの中学に関わらなければ平気だと言う話だ。


 若い教師はそんなバカな話があるか、と思いはしたが、あの黒い和服の男は明らかに人間ではない。

 しかも、校長の話では実際に何人もの教師がこの中学で事故死しているそうだ。


 若い教師は半信半疑であったが、校長の言葉に従った。

 そして、その中学にはもう二度と関わらないことにした。


 生徒の間には、忽然と消える新任の教師と言う噂だけが残った。







ななふしぎ【完】

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