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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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おとどけもの

 女が家にいると大きな段ボール箱のお届け物が届いた。

 お届け先には女の夫の名が記されている。


 何だろうと思いつつも、開けるのも悪いか、そう思い、女はリビングに置く。

 一抱えもある程大きな段ボール箱だが、異様に軽い。

 片手でも簡単に持ててしまうくらいの重さしかない。

 そんなお届け物に女は興味を持ってしまう。


 そのお届け物が気になってしまった女は、お届け物を開けてしまう。

 ビニールテープを剥がし、段ボールを開ける。

 緩衝材だろうか、丸まった新聞紙が大量に入れられている。


 新聞紙を見ると、割と古い年号の新聞紙なども多く含まれている。


 そんな新聞紙を掻き分けていくと、一足の赤いハイヒールが出て来た。

 何かしらの箱に入っているわけではなく、大きな段ボール、それと緩衝材の新聞紙に包まれて、剥き出しのハイヒールが出て来たのだ。

 一瞬自分へのプレゼントだったのかしら、と女は考えるが、そのハイヒールはどう見ても履き潰されていて中古品だ。


 女はなんでこんなものを、と思い、夫に電話をかける。

 お届け物を勝手に開けてしまったことを謝り、お届け物が来ていた、と夫に告げると、夫も知らないような反応を示す。

 夫が間違って届いたのでは? と言ってきて、宛名を確認するが、お届け先は夫の名前だし、ちゃんと住所も合っている。


 誰が送ってきたの? と夫に言われて女は初めて確認するが、送り主の欄は空欄になっていた。

 そのことを夫に言うと、詐欺じゃないのか? と言われる。

 夫の話では、送り主が空欄だと荷物を預かってもらえないはずというのだ。


 女はそれを聞いて、確かに、と思いつつ、なんか中古のハイヒールだったし、そうなのかも、と、夫に伝えた。

 その途端、電話の向こうで夫の様子が変わったのが、女にもわかった。

 そして次の瞬間には、必死にどんなハイヒールだ、と聞いてきたのだ。


 何かある、と女は思いつつも、ハイヒールを手に取りその特徴を伝えていく、色、形、サイズ、どこどこに傷がある、など。

 すると、夫はすぐに、今すぐそのハイヒールを捨てるんだ、とそう言って電話を切った。


 女は何かおかしいと思いつつも、ハイヒールを段ボールにしまい捨てる準備だけしておいた。


 その後、夫は慌てて家に帰ってくる。段ボールを見てなんでまだ捨ててない、と女に詰め寄る。

 女はゴミ出しの時間じゃなかったし…… とそう答えた。

 夫は中身も確認しないで、その段ボールをガムテープでぐるぐる巻きにしてから、それを持ち、外へと走っていった。


 しばらくして、夫は息も絶え絶えになりながら帰ってくる。

 そして、夫はポツリポツリと話し出す。

 夫には長年つきまとわれたストーカーがいたというのだ。

 そのストーカーは夫に私物を、しかも身に着けていた衣服などを度々送りつけて来ていたというのだ。

 女もそれで一旦は納得する。

 だが、夫はさらに続ける。


 でも、あのストーカーは十年以上前に車に跳ねられて死んだんだ、と。


 それを聞いた瞬間、女はゾワゾワとした形容しがたい感覚に襲われた。

 それ以来、女の家では、家の中なのにハイヒールで歩き回る音だけが聞こえるようになった。





おとどけもの【完】

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