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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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くりかえし

 男が会社で仕事をしていると、上司に呼ばれる。

 大したことではなく、男が抱えている仕事の案件の確認だった。

 資料を手に、男は上司に説明をして、それで上司も納得する。


 男が自分の席に戻り、時間を確認すると時刻は、十五時二十二分だった。

 息を軽く吐き出してから、男は自分の仕事を再開する。


 しばらくして、また上司に呼ばれる。

 男は何か問題があったのかと、そう思い上司の席にまで行く。

 そして、話を聞くと、先ほどの確認の話だと分かる。

 男は上司に、先ほど説明しませんでしたっけ? と言うと上司は、聞いてない、とだけ答えた。

 仕方なく男はもう一度、資料を持ってきて上司に説明をする。

 それで、上司は納得してくれて、男は自分の席につき、大きなため息を吐き出す。


 そこで、時計を見て固まる。

 時計の時刻は、十五時二十二分と表示されていたのだ。

 先ほど時刻を確認した時と全く同じ時刻なのだ。

 すぐにいろんな時計の時刻を確認するが、十五時二十二分が十五時二十三分になっただけだった。


 時計は動いている、止まっているだけでもない。

 男は首を捻り、もしかして予知夢でも見てしまったのか、なんて考えつつも、仕事を再開する。

 しばらくして、男は上司に呼ばれる。

 その時、男が時計を確認すると、時刻は十五時十一分だった。


 男は驚愕しつつも、先に資料を持って上司の席へと行く。

 案の定、男が抱えている案件の説明を求められ、男はその説明をする。

 三度目の説明だ。

 滞りなく、前回よりも早く、そして上手く説明できた。


 だが、男が席に戻って時刻を確認すると、十五時二十二分だった。


 男は席に座ったまま仕事もせず、呆然としてしまう。

 そして、そのまま呆然としていると上司に呼ばれるのだ。

 呼ばれた理由は、同じであり、時刻は十五時十一分だった。


 男は呆然としたまま、上司のところへ行き、自ら案件について説明をしだす。

 上司は驚きつつも、呆然自失となっている男を心配する。

 そこで男は、少し風にあたってきます、と、事務所から外へ出て自動販売機まで行き、温かい缶コーヒーを買い飲む。

 そこで頭を整理して、何が起こっているんだと考えるが、まるで理解できない。

 ただ間違いなくループしてしまっている、そのことは理解できた。


 飲みかけの缶コーヒーを持ったまま、とりあえず一度事務所へと戻り、席に座り仕事を始めた、フリをする。

 実際のところ、混乱していて仕事ができるような状態ではなかった。


 男はよくわからないが、ループを抜け出すために色々試さなくては、と考える。

 と、いうところで男は上司に呼ばれる。

 資料を持って行っていって、説明をしようとしたところで上司に、その説明はさっき聞いただろ? と言われ、様子がおかしいけど平気か? と男は心配される。

 顔を明るくして男は、はい、と答え、自分の席へと帰っていった。


 飲みかけの缶コーヒーを見て、もしかしたら、この缶コーヒーを持ち込んだおかげかも知れない。

 と、男は顔を綻ばせる。


 時刻は十六時になろうとしていた。

 その瞬間、男の机の上から、飲みかけの缶コーヒーだけが消えた。






くりかえし【完】

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