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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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ななふしぎ:05

 この中学に赴任してきたばかりの教師は聞かされた。

 この中学には七不思議が存在していると。


 放送室の怪。

 誰もいないはずの放送室に勝手に鍵がかかり、お経のような放送が放課後流れることがあるそうだ。

 鍵を使って放送室の扉を開けると、そこにはやはり誰もいない。

 そんな怪現象が起こることがある。


 少年は放送委員会に所属していた。

 昼休みの放送や学内のイベントの写真、最近では動画なんかも撮るようになっていた。


 放送室には編集用に性能の良いパソコンがある。

 なので、写真や動画の編集作業はそこでやることが多かった。


 少年が一人で運動会の様子を映した動画を放送室で編集していた時だ。

 ガチャっと音がする。


 少年もその音に気付き、作業用のヘッドフォンを取って周りを見渡す。

 少年は気づけなかったが、この部屋に鍵がかかった音だ。


 ただ見た目には特に変化はない。


 けれども違和感がある。

 少年は周りを注意深く見渡す。

 一応防音処理されているので部屋の外の音は聞こえない。

 それだけにとても静まり返った部屋だ。

 専用のブースがあるわけではない。

 機材が置かれているだけの小さな部屋だ。


 その機材の電源がいつの間にかについている。


 少年は、慌てて機材の電源を切る。

 マイクを通して放送されてしまう状態だったからだ。


 だが、電源を切ったはずの機材の電源が再び勝手につく。

 少年はギョッとしつつも慌てて、もう一度電源を切る。


 だが、すぐに電源がつく。

 そして、マイク音量のつまみが勝手に上げられていく。


 少年は何度も電源を切ろうとするが、今度はもう電源が切れることもなかった。

 マイク音量を最小にしようとするがつまみが固く動かない。

 

 ガチャッという駆動音がする。

 勝手になにかの機材が動き出す。

 古い、とても古い、骨董品のようなテープレコーダーが勝手に動き出す。

 そして、お経のような、それでいてお経ではないと分かる何かの言葉の羅列が流れ出す。

 一定のリズムで訳の分からない言葉が流れ出す。


 少年は怖くなり放送室から逃げ出そうとするが、ドアに鍵がかかっている。

 うち鍵を回そうとしてもかたくて回らない。


 少年はマイクに向かって大声で助けを呼んで泣き叫んだ。


 しばらくして、放送室の扉が開き先生が入り込んで来る。

 少年は泣きながら放送室から逃げ出し、職員室で起こった出来事を話した。

 以前からあった稀にではあるがおきていた現象なので、先生たちも少年を責めることはしなかった。


 古いテープレコーダーだけは処分することになった。

 それが原因だと先生たちも分かったからだ。


 ただ、その古いテープレコーダーは今も放送室にある。

 捨てたはずのテープレコーダーは、なぜか今も放送室にあるのだ。





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