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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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ななふしぎ:02

 この中学に赴任してきたばかりの教師は聞かされた。

 この中学には七不思議が存在していると。


 ありがちな話だ。四階に通じる階段だけ十三段になるというものだ。

 しかも、西日が差し込む黄昏時のその時間だけ、階段が一段減り十四段から十三段になるというのだ。

 その階段を数えて登り切ってしまうとその者は行方知れずになるんだとか。


 少年は面談があったので教室に居残っていた。

 もう放課後の教室に残っている者は誰もいない。


 次の個人面談は少年の番で最後なのだが、その一つ前が問題児の生徒であった為か面談が長引いている。

 少年は暇を持て余す。

 そして、七不思議のことを思い出す。

 時刻もちょうど夕暮れ時だ。

 オレンジ色の西日が階段に差し込んできている。


 少年は暇だから七不思議を確かめるために階段の前まで行く。

 七不思議の話では、踊り場から数えて十三段。

 本来は十四段あるはずの階段が、四階に通じる階段に西日が差し込んでいる時だけ一段減って十三段になり、それを数えて登ると異世界へつながってしまい戻れなくなる。

 そんな内容だった。


 少年はさっそく今いる三階から踊り場まで登る。

 ちょうど踊り場の窓から、階段すべてに西日が当たっている。

 静まり返った学校はどうも不気味だ。

 少年はまず踊り場から階段の数を数える。

 十四段ある。

 ちゃんと十四段ある。

 減ってなどいない。


 そこで少年は少し強気になる。

 今度は一段、一段数えながら階段を、西日に照らされ、赤く染まった階段を登る。

 一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、十一、十二、十三と。


 そこで少年は気づく。

 先ほどまであったはずの最後の段がない。

 少年は呆気にとられ、見上げる。


 西日に照らされて一本のロープがぶら下がっている。

 ロープの端だけ輪っかに括られたものがぶら下がって、風もないのにゆらゆらと揺れていた。


 少年は驚いて後ずさる。

 それがまずかった。少年が立っている場所は階段なのだから。

 階段で足を滑らせる。

 相当少年は慌てていたのだろう。すごい勢いで少年は階段を転げ落ちた。


 その結果、踊り場で少年は頭を強く打ち血を流し始める。

 

 もう人気のない時間だ。

 少年の発見は遅れ、少年は帰らぬ人となった。


 もちろん、本当に少年が階段を数えに行ったのかは実は不明だ。

 誰も誰も少年からその話を聞いていないし、見た者もいない。

 それはもういない少年しか知らない。


 ただ少年は四階には用はないはずだったことだけは確かだ。

 そして、どこからともなくその噂は流れてくる。






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