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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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かちかちっ

 女が湯船に浸かっているとどこからともなくカチカチカチと音がしてくる。

 パソコンのマウスのクリック音のような。

 女はもしかして盗撮されているのか? そう思った。

 けど、その音はすぐに水が滴る音だと思い当たる。


 ただどこで鳴っているのか、それがわからない。

 音の方向的に湯船の外側から音が聞こえてくる気がする。

 湯船とお風呂場の間の隙間、ユニットバスの間、そこから音が聞こえている。

 カチカチッ、カチカチッ、とクリック音のような水の滴る音が。


 今まではなかったことだ。

 明日は休みだし、明日、湯船のカバーでも開けて掃除でもするか、と女は考える。

 考えてみればしばらく掃除してなかった。

 いい機会かもしれないと。


 女は湯船に浸かりながら気づく。

 たしかにこのカチカチッという音は水の滴る音だ。

 だけど、どこから水が滴っているのかと。


 今は湯船に浸かっている。

 蛇口から水も出していない。

 なのに音がする。

 しかも、湯船の合間からだ。

 そうすると湯船が水漏れでもしているかもしれない。

 そうなると話はまた変わってくる。

 湯船の値段など女にはわからない。

 修理費どれくらいかかるかわからないが頭の痛くなる話だ。


 カチカチッ、カチカチッ、とクリック音のような水の滴る音はまだ聞こえている。

 女は仕方なく湯船から上がり、湯船、ユニットバスのカバーを取り外した。


 そこにいたものを見て女は固まる。


 白い女が湯船と壁の間に無理やり押し込められたように挟まって居た。

 それが歯をカチカチッと鳴らしていた。


 女がそれを見てギョッとしていると、その挟まっている女はすーと、湯煙のように消えていった。

 水の滴る音だと思っていた音も聞こえなくなった。


 女はしばらくのあいだ自宅の風呂を使わなくなった。





かちかちっ【完】

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