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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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よいごしのみず

 宵越しのお茶は飲むな、そんなことわざがある。

 だが、今回語られる話はお茶ではなくただの水だ。


 男が朝目覚める。

 そして、サイドテーブルの上にコップが置かれていることに気づく。

 中には水が入っている。


 そういえば昨日、寝る前に喉が渇いて、水を入れて持ってきたのを思い出す。

 けれど、水を飲み干す前に寝てしまったのだ。


 男はその水を飲んで始末してしまおうと口に近づけた。

 そうすると、妙な生臭さを感じる。

 コップに入っている水から、ものすごい生臭さが漂ってきているのだ。


 なのに、なぜか男はその水を飲みたくて仕方がない。

 急な喉の渇きを感じたのだ。

 多少臭くても今すぐに水を飲みたくて仕方がなかったのだ。


 起き抜けで寝ぼけていたこともあり、男はそのままコップの水を口に含んでしまう。

 生臭さが口いっぱいに広がる。

 大丈夫かと、一瞬脳裏をよぎったが、それを飲み込んでしまう。


 案の定、男は腹をこわす。

 腹がぎゅるるるると音を上げ、胃がキリキリと痛み出す。

 その痛みは尋常ではなく、アニサキスにやられた時のような痛みだった。

 まるで何かが胃腸を破り自分の中に侵入してくるかのような痛みだ。


 そんな痛みも三、四時間ほどで収まった。


 痛みが落ち着くと今度は強烈な便意が男を襲う。

 トイレに駆け込むと、男の尻から土石流のような勢いで排出される。


 排出された物は普通の汚物ではなかった。

 汚物なのに、どこか生臭く汚物特有の臭いでもない。

 しかも、排出されたそれはまるで生き物のように、便器の中でうごめいていた。


 男は怖くなりトイレの水を流す。

 それは排水管へと流れていくが、なにか得体のしれないものを男は感じていた。


 それ以来、男は宵越しのお茶も水も、飲まないようにしている。

 あの生臭い水が何だったのか、男にはわからないがただの水ではなかったことだけは確かだ。





よいごしのみず【完】

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