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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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のぞき

 女は彼氏と一緒に車で出かけた帰りだ。

 彼氏がトレイに行くため、公園の近くに車を止め、女は公衆トイレが嫌だったので車に残り車の番をしていた。

 女が車に一人でいる。

 そんな状況だ。


 彼氏が出ていった後、女は車の中で独り待っていた。

 夜の八時過ぎで外はもう真っ暗だ。

 女はスマホをいじり時間を潰す。

 

 そんな時、女は視線を感じる。

 視線の先、助手席の窓を見て女はびっくりする。


 すぐ近くに顔があった。


 男か女か、それも分からないくらいの老人の顔だ。

 目をギョロリとさせ女を凝視して、何かしゃべっているのか、口の中で何かを噛んでいるのか、口をもしゃもしゃと頻繁に動かしている。

 だが、なにも声は聞こえない。


 女は驚きはしたものの、相手が老人と言うことですぐに落ち着く。

 ただ窓を開けるのは何か怖かったので、窓越しに話しかけることにした。

 何かごようですか? と老人に向かい声をかけた。

 窓越しのせいか、老人に変化はない。

 老人は女を目を開きながら凝視しながら、口をモゴモゴと動かしている。

 女は窓を開けるかどうか迷う。


 迷った結果、女は窓を開けなかった。

 理由は怖かったからだ。

 どうしてもまともな相手には見えない。

 目を真ん丸になるほど開き、こちらを凝視し、何を言うでもなく口をモゴモゴしている相手など怖くて仕方がなかったからだ。

 

 女はその覗き込んでくる老人に気を付けながらも彼氏が帰ってくるのを待った。


 その間も覗き込んでくる老人は、口をモゴモゴさせている。

 何かしゃべっているのかと女は耳を澄ますが何も聞こえてこない。

 なのに老人は凄い女を凝視している。

 物凄く気まずい時間が流れる。


 そのうち、老人がしゃがむように下へ、窓の下へと消えていった。

 するとすぐに彼氏が帰って来た。


 女は彼氏に変な人に見られていたことを告げる。

 話を聞いた彼氏は驚き、車外に出て車の周辺を見回る。


 下に消えていったと女が言ったので、彼氏は車の下まで念のために調べた。

 もちろん誰もどころか何にもいない。

 女の話では彼氏が帰ってくる直前までいたとの話なのに、彼氏は車に戻って来た時誰も見ていない。

 そして、女は彼氏から幽霊出も見たんじゃない、と言われる。

 女もあれが本当に生きた人だったのかと、聞かれると自信を持って答えることはできない。


 次の日、彼氏の車の助手席側のドアに泥の手形がたくさんついていたのが発見される。


 とりあえず窓を開けなかったのは正解だったようだ。

のぞき【完】

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