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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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きみょう

 奇妙なものを見た。

 少年たちは近くの心霊スポットである廃ホテルへ行き、そこで奇妙なものを見た。


 無理やり言葉で言い表すなら、それは人形だ。

 精巧な人形ではあるが生きているようには見えない。

 そもそも生物からかけ離れている。

 それでも見た目だけならば人肌をしている。

 陶器のような固い冷たい、そんな肌をしていながらその下に青白い血管のような模様が描かれていた。

 遠目では肌色で人肌に見えるのだが、近づいてみるとそれが陶器のようなものだとわかる。


 ちゃんと四肢もある。

 異様に長い二の腕、そのかわりなのか前腕は異様に短い。

 細く長い指。けれど爪のようなものはあるが長くない。色付きガラスか宝石のような綺麗な爪をしている。

 足も一緒で太ももは長く脛は短い。

 丸い土管のような筒のような胴体。

 関節と胴体は金属製の太い縄のようなもので繋がれている。

 それに、人形のような頭部がついている。ついでに首も異様に長く棒の先に顔がついているようだったという。

 髪の毛は黒くまっすぐだが短い。油でぬれたようにてかてかと光っていた。

 顔も陶器のようなもので作られていて表面だけはすべすべしている。

 目も瞳のないガラス玉のような物がはめられていて、口は開かなかった、鼻の穴はなかったと、そう少年たちは口々に語った。


 少年たちはそれを初めはそれは悪趣味な人形だと考えていた。

 だから、怖がりながらもその詳細を知っている。

 人形だから、人形だと思ったから奇妙な見た目でも、怖がりながらも観察できたのだ。

 それにそれは触っても冷たい、そして、まるで鉄のように重く冷たかった。

 見た目は人間の肌のようでも、触るとつるつるでやはり陶器のようだった、少年たちは語ってくれた。

 それと、それからは鉄の錆びた臭い強烈にしていた言う。


 まだ日も暮れてない時間。

 少年たちは元ホテルの廃屋でそれを見つけたのだ。

 廃屋のホテル、それの客室の一室の取り残されたベッドの上にそれは置かれていた。

 それがなんなのか、どういったものなのか、まるで分らないが、それは一見して人形のようだった。

 ただそれは非常に重く少年たちの力では腕一本持ちあげるのが精いっぱいだった。

 ただ少年たちがそれを観察すればするほど、人形にしては精巧につくられていていたそうだ。

 ただおかしなことにその奇妙な人形は結構な大きさがあり、首や手足の長さから、その個室に入れることはできなさそうという話だった。


 人形にせよ、そうじゃないにせよ、それは動かなかった。

 少年たちも観察はできても触るようなことは早々できなかった。

 せいぜい腕を持ち上げて、冷たい、重い、触ると鉄臭い、それぐらいのことしかわからなかった。

 それは一週間ほど廃ホテルの一室のベッドの上に置かれていた。

 もちろんその間、それが動いた形跡はなかった。

 けれど、それは急に消えた。

 ホテルの部屋から出すのも困難なはずなのに、それは当然廃ホテルの客室から消えたのだ。

 腕だけでも相当重かったはずなのに、足場も悪くなった廃ホテルの一室から消えたのだ。


 ここまでは少年たち全員の話だ。


 少年たちの中で一人だけ、その後、その奇妙なものを見たという少年がいる。

 その少年が言うには、少年が自分の家のトイレに入ろうとしたとき、トイレの窓からそれが、あの奇妙な何かの顔が覗いていたというのだ。

 独特のガラスのような目で少年を見ていたというのだ。

 少年が気づくと、それはすぐに顔を引っ込めて音もなく去っていったそうだ。


 さて、あなたはこの話、どこまで信じれますか?





きみょう【完?】

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