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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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たきび

 少年は焚き火をしていた。

 今でこそ、消防署から注意を受けるような話だが、昔は焚き火くらいで注意される様な事はなかった。

 そんな昔の頃の話だそうな。


 少年は自分のうちの庭で焚き火をしていた。

 落ち葉を集め、火をつけ、眺め火の番をする。

 これも少年に任させられた仕事のうちの一つだ。

 サツマイモがあればアルミホイルに包んで焼き芋でも作ったのだが、今日はなかった。


 そうこうしているうちに、もう日が暮れて暗くなる。


 でも、まだ焚き火は明るい。

 まだまだ燃えている。

 焚き火にあたりながら、ゆらゆらと揺れる炎を眺める。

 少年はふと気づく。

 いつの頃からか、焚き火の向かい側に自分とおなじくらいの子供がいて、ニコニコと笑いながら焚き火にあたっているのに。


 だれ? と少年は、子供に声を掛けるが、答えは返ってこない。

 ただニコニコと笑いながら、焚き火の炎越しに子供は少年を見ている。


 少年は不気味に思いつつも、焚き火の番をする。

 焚き火越しの子供が頭を左右に振り始め、歌を歌いだす。

「まだかな、まだかな、早く消えないかな、消えないかな、消えたときが食べごろだ、食べごろだ」

 と、そんな童謡のような歌を歌いだす。


 少年は焼き芋でも入れたのか、そう思った。

 棒で焚き火の中を突っつくが灰しかない。

 それらしきものは見つからない。

 とはいえ、そうそう見つかる物でもない。


 そうしている間にも焚き火の火は弱まっていく。

 もう落ち葉がすべて燃えてしまったのだろう。


 焚き火の火が弱くなり、辺りが一瞬のうちに暗くなる。

 暗くなったのに、焚き火越しの子供はなぜかはっきりと青白く見えた。

 よくよく見ると恰好も変だ。

 服がボロボロだ。ところどころ破け穴すら開いている。

 それにどう見ても昔の服に見える。

 それが焚き火の火が弱まり、はっきりと見えるようになったのだ。

 少年も驚く。

 焚き火越しの子供がゆっくりと首を左右に揺らしたまま立ち上がる。

 少年は咄嗟に焚き火をいじっていた棒を子供に向ける。

 棒の先にはまた火がついている。

 子供はそれを見て、少年を睨む。

 グルルルルッと子供が獣のような唸り声をあげながら、闇の中へと、本当に溶ける様に消えて言った。


 唸り声が完全に消えてから、少年は自分の家に駆けこんだ。

 あれが何だったのか、少年は大人になってもわからないし、その時の焚き火にはやはり芋を焼いた後などはなかった。





たきび【完】

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