りょうのななふしぎ:07
とある女子寮に七不思議がある。
ただし、不思議の数は七つはない。
これはその七番目の話だ。
女子寮がある。
大学の女子寮だ。
その大学が運営しているわけではないが、昔からその大学の近くにあり、大学に通う者がその寮をかり、卒業したら自然と出ていく、そんな女子寮がある。
古い建物なので色々な不思議な話もある。
これもその話の一つだ。
寮には食堂がある。
食堂という程大層なものではないが、食堂は食堂だ。
少し広い部屋に、少し大きめの台所がついている部屋で、大きなテーブルが置かれているだけの部屋だ。
あと、大きな絵が飾られている。
絵の裏側にはお札が貼ってあって、それを隠すためにその大きな絵が飾られている。
食後にここで休んでいく者も多い。
ただ少し広い食堂は、人はいるときは良いが、人がいないと少し不気味だ。
なにより、絵の裏側に貼られているお札がその不気味さを加速させている。
寮母さん曰く、元々あった神棚に祀られていたお札で、それを飾っていたのだが、不気味だからと絵をその上から誰かがかけたと言うことだ。
お札の効果があるのか、この食堂で何か尋常ならざるものを見た、という話は聞かない。
ただ、絵の裏のお札を剥がすと、大変なことが起こるらしい。
以前、そういった霊やおばけを信じていない、と言った人物がお札をこっそりと剥がしたことがあった。
その者が食堂で食事をしていると背後に顔の大きな、こけしのようなシルエットの人影が現れ、白く青ざめた手で、その者をジッと指さし続けていたのだという。
それで周りの者が悲鳴を上げて、お札を剥がした者を、その後ろを指さす。
お札を剥がした者がゆっくりと振り返ると、そこには人間の四、五倍程はある巨大な顔が睨んでいた。
その大きな顔はすぐに闇の中へと消えていった。
お札を剥がした者もそれで悲鳴を上げ、すぐに剥がしたお札を元通りにしたという。
食堂の隠されたお札、として、この話もこの寮だけで語り継がれる。




