りょうのななふしぎ:03
とある女子寮に七不思議がある。
ただし、不思議の数は七つはない。
これはその三番目の話だ。
女子寮がある。
大学の女子寮だ。
その大学が運営しているわけではないが、昔からその大学の近くにあり、大学に通う者がその寮をかり、卒業したら自然と出ていく、そんな女子寮がある。
古い建物なので色々な不思議な話もある。
これもその話の一つだ。
この女子寮には少し変わったルールがある。
自室では飲み物はともかく、なにかを食べる行為は禁止されている。
なにかを食べるときは共用の食堂で食べなければならない。
特に鍋料理を食べるときは必ず食堂で食べなければならない。
そんな少し煩わしいルールがある。
なぜって?
アレが来るからだ。
女がこの寮に住みだして、半年とちょっとだ。
もう季節は冬で鍋が美味しい季節となっていた。
食事は共用の食堂で。
その事は女も知ってはいたが、あの共用の食堂は寒いのだ。
それに共用の食堂と言っても、普通の家庭にある台所より少し程度の物だが。
そう言う独自の、暗黙の、ルールがあるが、寮の規則ではない。なので無理にそこで食べる必要はない。
女はこっそり一人用の土鍋に鍋料理、特に名はないが、しいて言えば寄せ鍋だろうか、それを共用の食堂で作り、自室に持って来て食べ始めた。
理由は、もう夜遅いので共有の食堂で食べるのが怖いのと、やはり寒かった、からだ。
あの共同の食堂は夜食を一人食べるには広い過ぎるし、何かと不気味なのだ。
女が鍋料理を部屋でこっそり食べていると、コンコンコンと、女の部屋の戸をノックする音が聞こえる。
夜食を食べているのがばれたか、と女は思い、寮母さんに怒られるかな、と思いつつ返事をして、自室の戸を開けた。
だが、そこには誰もいない。
女は首を捻り扉を閉める。
そして、振り返ったとき悲鳴を上げる。
頭の大きな女性が、顔が人の四、五倍はありそうな、そんな女性が机に居座り鍋を食べていたのだ。
悲鳴を聞いて幾人かがどたどたと足音をさせながらやって来る。
その頃にはその顔の大きな女性は、跡形もなく消えてしまっていた。
女はやってきた人たちに自分が見たことを話すが、やってきた人たちは、部屋の中の鍋を見て、だから自室で食べものを、それも鍋は特にダメって言ってるじゃん、と、ため息交じりにそう言うだけだった。
鍋好きの大きな顔の女性、として、この話もこの寮だけで語り継がれる。




