みぎかたのかたこり
女の右肩だけ妙に肩こりが酷い。
右肩を触ると、肩は冷たく異様に硬い。
肩を動かすと、ポキポキポキと凄い音が鳴る。
女は整体などに行くが、肩こりが治ることはない。
病院へも行ったが原因は不明だ。
とはいえ、肩こりだは肩こりだ。
生活になにか支障があるか、と、言われればそれほどはない。
ただ、仕事をしていと、家事をしていると、右肩だけ妙に肩が凝っている、そう思うだけだ。
右肩に痛みがあるわけではない。
右手が動かしずらいわけでもない。
ただただ右肩が凝っている。
それだけなのだ。
女の右肩が凝りだして、一ヶ月くらいしたころだろうか。
女ももうそういう物なのだろうと、肩こりを治すのを諦めていたころだ。
ふと、風呂上がりに鏡で自分の姿を見てぎょっとする。
右肩、特に凝っていると思っていた場所に顔があるのだ。
驚いて直接右肩を見る。
あまり良くは見えないが、いや、その顔自体がぼやけていてちゃんと見えないのだが、右肩に確かに顔のような物がのっかっていた。
鏡で女はその顔を確認する。
拳より少し大きい、洗面所に置いてある予備のトイレットペーパーと同じくらいの大きさの顔が、自分の右肩に乗っているのだ。
人の物としては小さいが、鏡に映るその顔は人の顔に見えた。
その顔は白い、そして黒い少し縮れ絡まった髪の毛をしている。
ぎょろりとした眼で、自分の肩越しに周りを見ている。
気味が悪い、そう思いはしたが女は恐怖を感じなかった。
それどころか、これが肩こりの原因か、と怒りを感じていた。
これが原因なら、病院などで原因が分からないはずだ、とも。
お祓いにでもいけばいいのか、と女は自暴自棄的にそんなことを考えていた。
女はその顔が憎たらしくて仕方がなかったので、左手でその顔の目を唐突に突いた。
そうすると、その顔は嫌がるように消えていった。
そうすると、肩の重荷がスッと消えていく。
こんなことで良かったのかと、女は喜んだ。
次の日、今度は女の左肩が重く、酷い肩こりで悩むようになった。
あの顔はまだ見えない。
今度こそ目玉を突いてやると、女は息巻く。
みぎかたのかたこり【完】




