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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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なんかいる

 少女がまだ実家暮らしだった頃の話だ。

 少女は夜中、それも零時過ぎの深夜に、喉が渇き二階の自室から一階の台所に飲み物を探しに来ていた時だ。

 一階には普段使われてない和室があるのだが、その和室の戸が開いていた。


 普段、閉じている戸だけにおかしいと、思い少女が和室を覗くとそれが暗闇からぬっと現れたのだ。


 何が現れた?

 それはきぐるみだった。

 正確には少女には、それがきぐるみかどうか判断できなかったが、外見は地方のゆるキャラのような、そんな造形の物体が、和室の暗闇からぬっとあらわれたのだ。

 無表情で、愛嬌がある様な無いような、目が大きく、口が開きそこから大きく舌をだしている、きぐるみとしか言い表せない、そんな存在が現れたのだ。

 

 流石に少女も固まる。

 人でもオバケでもない、いや、妖怪の類かもしれないが、外見は、外見というか質感が完全にきぐるみなのだ。

 それが、夜に、自分の家の和室から現れたのだ。


 少女はそれを理解することができない、固まってしまうのも無理はない。


 そのきぐるみのような存在は少女に気づくと、じっとその大きな虚ろな目で少女を見る。

 そのきぐるみもまた少女を見て固まってしまったのだ。


 そのまま、少しの間の時間が何事もなく流れる。


 少女は我に返るのだが、きぐるみのようなその存在にどう対応して良いか、やっぱりわからない。

 悲鳴を上げるべきなのか、逃げるべきなのか、それとも戦うべきなのか。

 少女にはまるで判断が付かなかった。


 そうしていると、その着ぐるみのような存在は、和室の奥へとそろりそろりと後ずさりしていく。

 そして、そのまま少女の視界から見えなくなる。


 少女が、それを追って和室の入口に立ち、和室の電気を着ける。

 だが、そこにはもうきぐるみの姿はない。


 かなり大きなきぐるみだったはずなのに、影も形もない。

 あのきぐるみが隠れるような場所は和室にはない。

 念のため、押し入れも開けてみるが、荷物がぎっしりと詰まっていてきぐるみが入れるようなスペースもない。


 少女がそうやって和室を探していると、少女の父親が和室にやって来て、どうした、と少女に声を掛けた。

 少女はきぐるみがいた、というと、父親が驚く。


 そして、少女に言うのだ。


 おまえもみたのか?


 と。





なんかいる【完】

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