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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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まよなかののっく

 夜、深夜三時頃だろうか。

 そんな時間にドアをノックする音が聞こえる。


 コンコン、っと。


 男はその音で目を覚ます。

 そして、起きようとするがすぐに気づく。

 自分は一人暮らしだと。

 寝ぼけていたので実家にいたころと勘違いしていたと。


 ならば、その音は気のせいだ、男はそう考えて再び眠りにつこうとする。

 だが、しばらくすると、また、コンコン、っと、ドアを叩く音がする。


 今度は聞き間違えではない。

 男は考える、オバケ、泥棒、などなどを。

 寝ぼけた頭で少し考えた後、男は寝ることを選んだ。


 貧乏な学生の一人暮らしだ。

 盗まれて困るものはないし、泥棒と顔を合わせる方が命の危険がある。

 オバケなら見ないほうがいい。


 男は寝ぼけた頭でそんなことを考えて眠りにつこうとする。

 だが、男の中で思考は続けられる。


 泥棒だったとして、強盗のような連中だったら、と。

 だが、それでも、わざわざ寝ている男に何かするか? と、考えると答えは出ない。

 男は布団の中から聞き耳を立て、周囲の物とを探る。


 特に何も聞こえてこない。

 しんっと静まり返った真夜中で物音一つしない。


 部屋のドアの前に、誰かいるとも思えない。

 思えないのだが、またコンコンと、ノックをする音が聞こえて来る。

 あまりにも男が耳を澄ましていたので、その音でも、体をビクッとしてしまう。


 玄関のドアではない。

 この部屋の、部屋と台所を隔てるドアをノックしている音だ。


 男は意を決して、起き上がり、部屋の電気を着け、そして、ヘアのドアを開ける。


 無論、そこには何もいない。誰もいない。いるわけがない。


 だが、男は逆に怖くなる。

 では、あのノックはなんだったのかと。


 男が立ちすくんでいると、コンコンっとドアを叩く音がする。

 今度は部屋の玄関のドアだ。


 男は忍び足で玄関の前まで行き、ドアの覗き穴を見る。

 無論、誰もない。


 男がドキドキしながら、覗き穴をいろんな角度から見ようとしている。


 その瞬間だ。

 ガチャンガチャンと音を立てて、新聞受けが開け閉めされる。

 覗き穴で見ているときだ。

 ドアの前に誰もいない時にだ。


 男も流石に恐れおののく。

 一応、新聞受けの中を確認はするが、なにも入れられていない。


 男は怖かった。

 だから、男は何も見なかったし、聞かなかったことにしたのだ。


 男は部屋に戻り、電気を消し、そして、布団の中に潜り込んだ。

 また、部屋のドアをノックする音が聞こえてくるが、男は無視する。

 ただの幻聴だと、そう思い込んで無視を決め込む。


 そのうち、眠気に負けて男は眠りに落ちる。

 男は毎夜毎夜、真夜中のノックに悩まされるが、無視を決め込んだ。


 そのうち、真夜中のノックも聞かなくなった。

 ただ、それだけの話だ。





まよなかののっく【完】

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