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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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どうくつのなかのあくま

 暗い洞窟の中に悪魔がいる。

 その悪魔は迷い込んで来た者に押し問答をする。


 その悪魔は人の心が読めるため、その押し問答にはどうやっても勝てない。

 そんな悪魔が住む洞窟がある。


 そんな洞窟に一人の僧がやってくる。

 暗がりから、それを見つけた悪魔は僧に問う。


 汝は何者だ、と。

 僧は答える。

 自分は修行中の僧である、と。


 そうすると、悪魔は僧とはなんだ? と、今度は問う。

 だが、僧は、知らん、と言い放った。


 悪魔は僧の心を読むが、確かにこの僧は僧のことを何も知らない。

 悪魔は首をひねる。


 なぜここへ来た、と、悪魔は僧に尋ねる。

 そうすると僧は、師匠におまえを退治して来いと言われた、と言う。

 悪魔にはわかる、これも嘘ではない。


 そうやって俺を倒す、と悪魔が僧に聞く。

 洞窟の闇の中には念仏も神への祈りも悪魔には聞かない。


 そうすると、僧は拳を振り上げ、この拳骨でだ。

 と、本気で僧はそう言った。


 悪魔には肉体はない。

 だから、それは無理だ、と悪魔は答える。


 僧は、なぜ無理なんだ、と聞き返す。

 俺には肉体がない、だからいくら拳を振り上げたところで意味はない、と、悪魔は答える。


 そうするとその僧は笑う。

 なら、悪魔など恐れるに値しない、いないのと同じだ、そう言いのして、洞窟を去って行った。


 悪魔は初めて押し問答に負けた。いや、そもそも相手にされなかった。

 そうして、悪魔は洞窟の闇へと消えていった。


 確かに、悪魔は僧によって倒されたのだ。






どうくつのなかのあくま【完】

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