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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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めがね

 少女は普段はコンタクトレンズをつけている。

 だが、眼鏡も持っている。

 たまにかける眼鏡だ。

 コンタクトレンズを外した後とか、コンタクトレンズを切らしているときとか。

 そんなときの、ようは予備の眼鏡だ。


 そして、その眼鏡をかけていると少しだけ不思議なことが起こる。

 その眼鏡をかけている時だけ、少女には見えるのだ。


 自分の部屋の隅に、体育座りで座り込んでいる幼子の存在が。

 恐らく幽霊だ。

 半透明だし、色がない。

 白黒で、昔の映画のような、そんな幼子が座り込んでいる。

 あまりはっきりとは見えないので、その幼子が男か女かも分からない。


 微動だせずに、まるでその場に焼き付いているかのように、その幼子は部屋の隅で体育座りをしている。


 その姿を、眼鏡をかけた時だけ見える。

 眼鏡が原因かと少女は思ったが、少女以外の者が少女の眼鏡をかけてみてもそれを見ることは出来ない。

 少女だけが、その眼鏡をかけた時だけ、それを見ることができた。


 気味は悪かったが、本当に微動だにしない。

 棒などで突っついてみたが、そもそも干渉できないのか、すり抜けるだけだ。


 最初こそ、少女も怖がっていたが、そもそも少女以外誰も見えないし、微動だしないのだ。

 そのうち少女も気にしなくなった。

 そもそも眼鏡をそれほどかける機会がなかった、というのもある。


 それでも、たまに眼鏡をかけてそれを見ると驚くことはある。

 動きはしないのだが、白黒の半透明の幼子だ。

 忘れていた時に見ると、慣れているとはいえ、やはり驚く。


 少女が高校に入学する頃に、少女の家を建て変えた。

 少女は何となく、それでもあの幼子はいるのだろうと、そう思っていたのだが、新築になるとあの幼子は見かけなくなった。


 結局あの幼子がなんだったのか、少女にも分からないままだ。





めがね【完】

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