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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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じゅうさんにちのきんようび

 今日は十三日の金曜日だ。

 男は何か良くないことが起こるのでは、と、そう心の片隅で思ってしまう。

 もうそんなことでワクワクするような年齢でもないのに、少し期待してしまう。

 男もそのことはわかっているので、少し最近働きすぎか、と、自分を省みる。


 男が会社に着く。

 セキュリティを止めるカードを遠し、鍵を開き会社に入る。

 今日も自分が一番だ。

 男はそう思って会社の掃除をする。

 誰に言われたわけでもない。

 男がそうしたいから掃除をしているだけだ。

 ついでに、パソコンを起動させておく。

 古いパソコンなので起動に時間が掛かるのだ。


 掃除をしている間に、男のデスクのパソコンが起動する。

 男はそこで掃除をやめて、コーヒーを入れ、自分の席に着き、仕事を始める。


 しばらく仕事をしていて気づく。

 誰も会社に来ない。


 おかしい。

 もう就業時間はとっくに過ぎているはずだ。

 社員だけではなく社長も来ないのもおかしい。


 もしや、十三日の金曜日だからか?

 それで、というわけではないが電車でも止まってしまったかと。

 男はそんなことを思う。


 それにしては連絡もない。

 電話も来ない。


 まるでこの世界に自分一人しかいないかのような、そんな静けさがある。

 午前中は何か取引先からの電話も多いはずなのに、今朝は一行にかかって来ない。


 なにかがおかしい。


 男が本格的に疑いを持ち始めたときだ。

 男はそれに気づいてしまう。


 今日は十三日の金曜日ではない。


 そのことに気づいてしまう。

 今日は十四日の土曜日だと。


 男はため息をついて、仕事を止め、いそいそと帰り支度をはじめて会社を後にした。

 家に帰った男は夕方まで寝て過ごした。


 ただそれだけの話だ。





じゅうさんにちのきんようび【完】

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