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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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べっどのした

 女は知っている。

 自分のベッドの下に何かが住み着いていることを。


 だけど、それをどうにかしようとは思わない。

 いや、どうにかできれば既にしている。

 どうにかできなかったから、それをそのままにしているしかないのだ。


 それは女のベッドの下に潜んでいる。

 ベッドの暗がりに、いつも潜んでいる。

 縄張り意識が強く、他の者がベッドの下に入り込もうとすると、途端に狂暴になる。

 どこからともなく、獣が威嚇するような唸り声が聞こえてくる。

 それでもベッドの下からでないと、噛まれたり、鋭い爪で引っ掻かれたりする。


 人か? いや、確実に人ではない。

 どちらかと言えば、獣の類だ。

 だが、生き物ですらない。なにせベッドの下には、見た目は何も存在しない。

 霊か妖怪か、その類なのだろうが、正体はまったくの不明だ。


 ただ潜んでいるだけで、ベッドの下に入り込まなければ、女に害はない。

 ベッドの下を掃除するときに、多少気を着けなければならない程度だ。

 掃除をするときは、掃除させていただきます、と声を掛けて、それから掃除に取り掛かる。

 それだけでいい。


 ベッドを買い替えても、ベッドの場所をかえても、それは女のベッドの下にいつの間にかに住み着く。

 一時期布団にしてみたが、怒りを露わにし威嚇するような獣の声がどこからともなく聞こえ始めたので、女は仕方なくベッドに戻した。


 姿が見えるわけではない。

 ただそれはベッドの下に存在するのだ。

 恐らくは獣。それも小さい獣のようなナニカだ。


 たまにベッドの下で、何もないのに動き回る様な音が聞こえたりするくらいだ。

 あと、収納ケース等をベッドの下に入れても、威嚇される様な声が聞こえるので、その点は不便かもしれない。


 そんなよくわからないモノが、女のベッドの下に住み着いている。

 女も色々対策をしたがすべて無駄だった。

 結局、女はベッドの下にペットでも飼っているのだと思い込んで、悩むのを辞めた。


 だから、それは今も女のベッドの下にいるのだ。





べっどのした【完】

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