ふとん
男は同僚からこんな話を聞いた。
夜、暑いからと言って布団をかけずに寝ると悪夢を見るという話だ。
男はその夜、試してみる。
エアコンをかけても暑い夏の夜だ。
布団などかけずとも寝れる。
男は慣れないので寝つきずらかったが、やがて眠りにつく。
そして、朝方だろうが、悪夢にうなされて目を覚ます。
男は同僚に本当に悪夢を見たよ、と報告する。
するとその同僚は、今日は必ず布団をかけて寝るんだ、と真剣な表情そう言った。
その夜、男が布団をちゃんとかけて寝ると、悪夢は見なかった。
男がそのことを同僚に報告する。
すると、同僚はこんなことを話しだした。
男は悪夢に魅入られやすい体質だと。
普通はそんなすぐには見ない。
数日間布団をかけずに寝ても、悪夢を見る確率はかなり低いと。
それを一日で見たというのだから、男は悪夢に魅入られやすい体質なのだと。
男が同僚に悪夢とはなんだ? と聞くと。
同僚は笑顔を男に向ける。
そして答える。
悪夢の正体は知らない。
ただ大体、怪物に追われる悪夢を見るので、やっぱりそういう奴らなんじゃないか、と。
男は日からちゃんと布団をかけて寝るようになった。
皆さんも悪夢を見て目覚めるとき、自分に布団がちゃんとかけられてないことが多くはないですか?
ちゃんと布団をかけて寝ましょうね。
ふとん【完】




