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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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でんわばん

 とある休日の昼過ぎ、少女は父親とお昼寝していた。

 気持ちよくお昼寝した。


 少女が父親よりも早くその眠りより目覚めた時だ。

 家の、固定電話がちょうど鳴る。

 今時、固定電話も珍しいが古い家だ。

 固定電話もあるという物だ。

 流石にダイヤル式の黒電話ではないが。


 少女は電話にでるかどうか迷う。

 電話の受け答えくらいはできる歳だが、父がいるなら父が出たほうが良い。

 少女は父親を起こそうとする。

 父親を揺するが父親は起きない。


 母親もいないのか電話にでる気配がない。

 プルルルルルル、プルルルルルルと言う電話の着信音だけが家に響き渡る。


 父親が起きないので、仕方なく少女が電話に出る。

 少女が受話器を取り、もしもし、と話しかけると、〇〇さんちのお宅ですか? と年老いた女性の声で聞かれる。

 聞かれた苗字は少女の物とは違う。

 なので少女は、違います、と答える。


 そうすると、受話器の向こうから再び、〇〇さんちのお宅ですか? と同じことを聞かれる。

 少女は聞こえなかったのかと思い、違います、と、もう一度伝える。


 そうすると、〇〇さんのお宅ですね、では、これから向かいます、と、受話器から返事が返ってくる。

 少女は慌てて、違います、うちは〇〇ではないです、と、答えるが、電話はプツリと切れてしまう。


 少女は間違い電話だったのだろうと、そう思って受話器を置いた。

 それから、きっかり五分後だろうか、再び電話が鳴る。

 少女は父親を起こそうとするが、やはり起きない。

 仕方なく少女が電話を取る。


 少女が、もしもし、と聞く前に、受話器からはさっきの年老いた女性の声で、△△さんのお宅まで来ました、そう告げて電話は切れる。

 △△さんと言うのは、確かに少女の家の近くある苗字だ。

 少女はドキリとする。


 すると、今度は電話から、ピンポーンと、玄関のチャイムが鳴る。

 少女は身を震わす。

 必死に父親をゆるり起こそうとするが、父親は一向に起きる気配はない。


 その間も玄関のチャイムは、ピンポーン、ピンポーンとなり続ける。


 少女が震えていると、母親が少女が寝ている部屋に顔を出す。

 その瞬間に、余韻も残さずに玄関のチャイムの音が掻き消える。


 少女が母親に一連のことを伝えると、未だに寝ている父親を足蹴にして少女を抱き締めた。

 それで、父親はやっと目を覚ます。





でんわばん【完】

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