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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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けんこうしんだん

 病院で健康診断を受けた。

 最近何かと体調が悪い。

 何か悪いところでも見つかってしまうのでは、男はそう考えていた。


 だが、しばらくして帰って来た健康診断の結果は健康そのものだった。

 しいて言えば、運動不足、少し肥満気味ぐらいのもので、運動してください、と軽く言われるくらいだった。


 まあ、会社の定期健診だ。

 そんなに詳しいことがわかるはずもない。

 男はそう考えた。


 なにせ体調が悪い。

 すこぶる悪い。

 体は重く、肩はこり、眼も重く、疲れが取れず、頭痛も絶えない。


 ただ、食欲だけはある。


 男は自分が健康であるわけがない、そう考えていた。

 だから、休みに人間ドックに行き、詳しく調べてもらった。


 その結果は、運動不足、食べすぎ、と言われた。

 後は特に問題はないと。

 医者は男に告げる。


 男はこんなにも日々辛いと言うのに、と嘆く。


 そうすると医者は男に助言する。

 仕事が大変じゃないですか? ストレスのある環境ではないですか? と。

 男は医者の言葉に深く頷く。

 ブラックというほどではないが、仕事のノルマはキツイのは確かだ。


 そうして、男はその医者の一言で、自分の体調が悪いのは会社でのストレスのせいだと思い込むようになった。

 それが確かに原因の理由の一つだったかもしれない。

 でも、それが全てではない。

 一番の要因は、男が思い込みが激しい性格だったことだ。

 自分は体調が悪いと思い込み、強く思いこむが故に体調も悪くなる。


 ただ、それだけのことだった。

 男は近いうちに会社を、仕事を辞める。

 そして、稼ぎがなくなり、自分に仕事を辞めろと言ったわけでもない医者を、今度は恨み出すのだ。


 男はそうやって、今日もすべてを他人のせいにして生きていく。





健康診断【完】

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