表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それなりに怖い話。  作者: 只野誠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

192/678

うま

 深夜。

 恐らくは三時過ぎ。

 もうしばらくすれば夜も明けようと、うっすらと明るくなるような、そんな時間。

 まだ暗い時間。

 朝日がさすまで、もう少し間がある時間。


 そんな時間に熱帯夜でエアコンをかけているにもかかわらず寝れない男がいた。


 男はベッドの上でゴロゴロしていた。

 眠れない、と。

 理由はよくわからないが、今日はなんだか眠れないと。


 ベッドの上で目をつぶり、ただ寝っ転がっていた。


 そんな時だ。

 外から、パカパカと音がする。

 男はその音に心当たりがある。


 馬の足音だ。

 だけれども、男はそれを馬の足音とは思わない。


 なぜって?

 男が住んでいる所は住宅街であり、馬が出没するような場所ではないからだ。

 近くに馬を飼っているような場所もない。

 つまり、馬がいるわけないからだ。


 では、この音はなんだろう?

 男は考える。

 パカパカという音は遠くなったり近くなったりしているが、聞こえなくなることはない。

 この音の主はこの辺りを行ったり来たりしている。


 眠れない男はそれが気になりだす。

 この馬の足音のような音を出す主はなんなのかと。

 しかも、三時過ぎのこの時間にだ。


 一度気になりだしたら、眠れなく暇を持て余していた男は気になって仕方がない。

 男は窓を開け、雨戸を少しだけ開いて外を見る。

 ちょうど家の前の通りが見える。


 そして、馬が見える。

 白馬だ。

 白馬が歩いている。


 男は驚く。

 そして、迷う。

 警察に通報すべきかどうかと。


 馬がこんな住宅街にいたら一大事なことは間違いはない。

 そうを迷っているうちに男は不思議なことに気づく。


 馬は確かに動いてはいるが、動いてないのだ。

 何を言っているのかと思うかもしれないが、馬は地面を平行移動しており、足を上げたりしていないのだ。


 まるで足にタイヤでもついているかのように、不動のまま移動しているのだ。


 男はそれに気づいた時、ゾクっとする。

 そして、思い出す。


 近くのデパートに、今はもう閉店してしまったデパートの屋上に、今、家の前を横切っているようなリアルな馬の人形がいたことに。

 一度それに気づいてしまうと、もうそれにしか見えない。


 男は警察に通報するのをやめて、なにも見なかったことにした。

 雨戸をしっかり閉めて、男はベッドの上に横になる。


 なぜか今度はすんなり寝れた。

 目覚ましが鳴り響くが、男はそれを無意識で止めて会社に遅刻した。


 男は遅刻した理由を話す。

 それがこの話だと言うのだ。


 あなたはこの話、信じられますか?




うま【完】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ