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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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ねむけ

 男は凄い眠気に襲われていた。

 いくら寝ても眠い。

 早く寝ても眠い。

 ぐっすり眠れたと思っても眠い。


 それにお朝起きると、いつも思うのだ。


 疲れた。


 と。


 朝起きると、どうにも疲れている。

 疲れが残っているのではなく、寝る前よりも疲れているのだ。

 男もおかしいとは思うが、よくわからない。

 とにかく眠く、疲れだけが溜まっていくのだ。

 男はそんな日々を過ごしていた。


 ある時、男の家に友人が泊まりに来る。

 その日は男も楽しく過ごし、次の日の朝だ。

 その友人は男に言った。


 寝言が凄くてあんまり寝られなかったと。

 男は友人に寝言で何て言っていたかと問うと、友人は、やめてくれ、助けてくれって、ずっと繰り返し言っていたと男に教えた。

 男は、その寝言こそが、睡眠が取れていないのと起きると疲れているのことの原因なのではと考えた。

 友人が帰った日、男はスマホの録音機能を使って、寝言を録音して見た。


 最初は何の音もない。いびきすらない。

 だけど、寝てからおよそ一時間くらい経ったくらいか、バキバキという音がし出す。

 スマホの録音にも入るような大きな音だ。

 家鳴りとも違う。

 誰かが歩くような、そんな音だ。

 しばらくすると、男が唸る声が聞こえて、友人が言っていた通り、やめてくれ、助けてくれ、と、うわ言の様に寝言を繰り返す男の声が録音されていた。

 男はその録音を聞いて、これではまともに睡眠できているはずはない。

 と、自分でも思ったという。

 録音し始めて三時間くらい経った頃だろうか、不意に女の声で、キャハハハハハハハと言う笑い声が入る。


 急なことで男も驚く。


 結構大きな声だ。

 そして、ドアを開け、閉める男が聞こえ、男の寝言も次第に聞こえなくなっていった。


 男はゾッとする。

 笑い声の主がすべての原因だ。

 と、男は確信する。


 が、相手は恐らく人間ではない。

 だが、相手は女だ。


 そこで男は考える。

 まだ洗っていない、自分のパンツと靴下を部屋中に吊るし、男自身は全裸で寝たのだ。

 寝不足で精神的に参っていたのかもしれない。

 相手が女であれば、幽霊でも、これでそう簡単にはこの部屋に入れまい、そう考えたのだ。


 そして、それは本当に効果があった。

 その日以来、男は安眠できるようになったが、その代わりに男は全裸でないと眠れなくなったという。

 

 そんな、どうでもいい話だ。





ねむけ【完】

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