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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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ねじれ

 男は困惑していた。

 洗面台。

 その排水口から煙が立ち上っていて、物凄く生臭い。

 それに変な呻き声の様な音も排水口から聞こえてくる。


 どっか別の階の住人がおかしなものでも流したのではないか、そう思い困惑していた。

 もう夜遅いのでマンションの管理人に電話するのも億劫だし、流石に夜中の一時に電話するのは非常識だろう。


 男は生臭い煙を見る。

 毒じゃないよな、と内心慄きながら煙を観察する。

 白い煙と思っていたが、どうも、ところどころに色がついているように見える。

 ただ薄くあまり良く見えない。

 それに排水口から聞こえてくる音も、なんだか妙に生々しい。

 人の呻き声のように聞こえる。

 その上で、物凄く生臭い。

 下水の臭いではない。

 下水というよりは、まだ磯の臭いの方が近い、そんな生臭い臭いがするのだ。


 男はとりあえず排水口の蓋を閉じて、明日の朝一番で管理人に電話しよう、そう思った。


 そこで男は洗面台に近寄る。

 その時、気づく。

 

 この煙にはやっぱり色がある。いや、模様があると。

 煙だから、半透明だから白っぽく見えているだけで模様の様な物が本来は見えているのだと。


 ふと男は思いつく。

 電気の明かりで白く見えているのではないかと。


 男は洗面所の電気を消す。

 すると、それは、その煙はほんのりと発光でもしているのか、より鮮明に見ることが出来る。


 それは人間だった。

 人間が絞られるようにねじれている。


 それがねじれ、苦しみ、呻き声をあげて、煙のように排水口から立ち上ってたのだ。


 男は悲鳴を上げる。

 それを、その正体を理解してしまったから。


 男は慌てて電気を着けて、恐る恐る排水口を閉じた。

 そうするとその煙は途絶える。

 それだけでは心配だったので、男は洗面台に水をためておいた。


 それから、男がこのマンションから出ていくまで、ずっと洗面台には水がためられたままになっていた。






ねじれ【完】

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