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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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みどりのてがみ

 家のポストに手紙が届いた。

 緑色の手紙。

 葉っぱでできた手紙だ。


 それにつたないひらがなのような文字が書かれている。

 ただ、その文字は余り読めたものではないし、読めたところもただの文字の羅列で意味があるようにも思えない。

 しいて言うならば、手紙ぽく作られた物、と言うだけで手紙の内容があるようにも思えない。


 子供が、まだ文字を書けないような、小さな子供が、手紙を真似て書いた、そんな感じの物だ。

 だから、その家の主の男は、子供のいたずらだと思った。


 だが、次の日も、その次の日も、毎日一枚ずつ葉っぱの手紙は届いた。

 様々な植物の葉っぱ。

 どれもこれも大きい葉っぱで、そこで爪で傷つけたような文字で何かが書かれている。


 書かれている内容は、やはりわからない。

 文字っぽくはあるが、そもそも文字ではないのかもしれない。


 文字を真似たそれっぽい何か。男にはそう思えた。

 手紙を模したナニカ、男にはそう思えて来た。


 いたずらにしては毎日届く。

 そのうちあきるのでは、と思っていたが毎日届く。

 近所の人に話したが、そんな物が届くことはない、と言う話だ。


 男の家だけに毎日届いている。

 誰がこんなものを届けているのだろう。

 男は考える。


 夜遅くポストを見ても葉っぱは入っていない。

 だが、朝には入っている。

 深夜から早朝にかけて、この葉っぱは入れられているのだ。


 男はインターフォンにカメラがついていることを思い出す。

 男がそのインターフォンのカメラの説明書を見ると、タイマー録画ができる機能があった。


 赤外線センサー付きではなかったが、男はその機能を使用して葉っぱの手紙の犯人を突きと埋めようとした。

 ただ、タイマー録画は三十分しか録画できなかった。


 なので、時間をかけて、何日にも分けて録画していくことにした。

 まずは深夜零時から零時半まで。次の日に零時半から一時まで。

 そんな感じでだ。


 だいたいはなんも映っていない。

 だが、葉っぱの手紙の犯人を数日のうちに突き止めることができた。


 二時半から三時の間。

 時間的には二時四十分頃だ。


 それは人間ではなかった。

 毛むくじゃらの大男。

 人の形をしてはいるが、人ではないのは明らかだった。

 もじゃもじゃの毛むくじゃらの何かが、無造作にポストに葉っぱを突っ込んで行った。


 白黒の荒い画像なのに、男はどうしょうもない恐怖に襲われる。

 警察に頼ろうかとかとも思ったが、なんだが現実離れしていて、その動画をすぐに消した。

 男はすべてを忘れることにした。


 三か月ほど、葉っぱの手紙が届けられたが、ある日を境にピタリと止んで、それ以降は葉っぱの手紙が届くことはなくなった。

 念のため、男は葉っぱを保存しておいたが、今はもうどれもこれも枯葉となっている。





みどりのてがみ【完】

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