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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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こうかすいそう

 とある高校に通う少女がいる。

 少女の通う高校は珍しく屋上を開放してる。


 少女は吹奏楽部だったため、良く屋上で練習をしていた。

 その日も少女は放課後に一人で屋上で練習していた。


 とはいえ、屋上に人がいないわけではない。

 高いフェンスで囲われた屋上は一部の運動部も練習に使っているからだ。

 なので、少女は階段室、塔屋の後ろで練習をしていた。

 運動部がしている走り込みの邪魔にならないように。


 夕方を過ぎて少し暗くなって来た頃だろうか、少女は水音を聞く。


 バシャバシャバシャと、かなり大きな音が聞こえてくる。


 少女は楽器を拭くのをやめて、不振に思いその音の出どころを探る。

 上から聞こえる。


 塔屋の上から、水音が聞こえてくる。

 少女は上を見上げるがそこには高架水槽があるだけだ。

 だが、音の出どころは、間違いなくそこだ。

 確かめに行きたいが、塔屋に登る折り畳み式の梯子は生徒には登れないように、塔屋の上にまとめられている。

 これを下げるには鍵も必要だ。


 少女がどうしようかと考えていると、今度は水音に加え、ドンドンドンと叩く音まで聞こえ始める。

 少女は高架水槽に誰かが落ちて溺れているのではないか、そう思った。


 そこで運動部を見ている顧問の先生を呼び、音のことを伝える。

 顧問の先生も水音と叩く音を聞き、慌てて職員室に梯子の鍵を取りに行く。


 顧問の先生が教頭を連れて戻って来て、すぐに塔屋へ上るための梯子が降ろされる。

 顧問の先生が塔屋の上へ上がっていく。


 その後少し手惑いはしたものの、高架水槽の蓋が開けられる。


 顧問の先生が懐中電灯片手に中を覗き込むが、中には水があるだけだ。

 多少汚れてはいるが、他に何もない。


 誰もいない。


 顧問の先生は注意深く中を何度も確認するが、誰もいない。

 隠れるような場所もない。

 教頭も中を確認するが、中にあるのは水だけだ。


 教頭は少女の聞き間違いでは? といってきたが、顧問の先生も運動部の生徒も、水音と叩く音を聞いたと証言した。


 その後、その高架水槽は何度か同じような事を繰り返す。

 その度に確認はされるのだが、その高架水槽の中には誰もいない。


 今は誰もいない。




 

こうかすいそう【完】

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