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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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ひきだし

 引き出しを引いたら目が合った。




 古い校舎。

 立ち入り禁止の旧校舎。


 たまに肝試しで入り込む生徒がいる。

 木造の二階建ての、本当に古い田舎の小学校。


 少年も肝試しでその旧校舎に忍び込んだ。

 確かに古くはあるが床に穴など開いてもいるわけではない。

 教室の机も綺麗に並べられたままだ。

 古くはあるが特段そんな変わったことがあるようには見えない。

 ただ教室つの扉には鍵がかかっていた。

 教室の中には入れない。


 また、やはり木造で古い建物のせいか、歩くと、ギィギィと嫌な音を立てる。

 音立てながら少年は廊下を歩く。

 そして、階段を見つける。

 階段も木造で少し、それを登るのに躊躇する。

 途中で崩れたりしないか、そんなまた別の怖さがある。


 少年はおっかなびっくりしながらも階段を登り、二階に上がる。

 階段を登ると職員室がすぐにあった。


 少年は扉を開ける。

 職員室には鍵がかかってなかった。


 まだ机が並んでいる。

 灰色の古いオフィスデスク。


 なんだか少年は気になり、その引き出しの一つを少年は開けた。



 引き出しを引いたら目が合った。



 引き出しに人の顔があった。

 雑誌や写真ではない。

 人の顔だ。

 顔だけが引き出しにしまわれていた。

 引き出しいっぱいに引き伸ばされたような、大人の男の顔だった。

 その顔が怒ったように少年を見ていた。

 

 少年は跳ね上がって驚く。

 そして、机の引き出しを勢いよく閉める。


 少年は駆けだし、職員室から出る。

 階段を駆け下り、ギィギィと鳴る廊下を走る。

 少年の後ろから、ギィギィと少年が立てた音とは別の音が鳴る。


 少年は泣きながら走る。

 旧校舎から抜け出したが走るのを止めず、家まで走る。

 振り返らずに走った。


 家に帰った少年はすぐに家の鍵を閉めて、布団に潜り込んだ。


 それから少年が布団の中で震えていると、少年の家族が帰ってくる。

 少年はそれで一安心する。


 普段通りに、ご飯を食べ、テレビを見ていると、風呂に入れと父親に言われたので、少年は風呂に入る準備を始める。

 着替えを出すために、箪笥の引き出しを開ける。


 引き出しを引いたら目が合った。




ひきだし【完】

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