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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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かおのき

 とある小学生の間で顔の木という噂がある。

 少し大きな公園に、人の顔が浮かび上がる木があるそうだ。


 普段は浮かび上がらないんだが、特定の時刻、特定の手順を踏んでその木に行くと木に人の顔が浮かび上がり、どんな質問にも答えてくれると言うものだ。


 ただその手順がかなりいい加減なものだ。

 小学生に伝わっているようなものなので仕方がないのだが。


 まず、酒屋の前の自動販売機で〇〇と言う炭酸飲料を買う、と言うものから始まる。

 ついでに、今では○○と言う炭酸飲料は販売されていない。かなり昔の物だ。

 だけれども、稀にその炭酸飲料が自動販売機に売られていることがあるらしい。


 この〇〇という炭酸飲料が売られている期間が、特定の時刻と言う奴だ。

 噂では大体夕暮れ時に売っていると言われている。

 そして、翌日にはもうなくなっている。そんな感じだ。


 その炭酸飲料を買い、その上で、飲みながらまずは公園を目指す。

 酒屋の前の横断歩道を、赤と青が三度入れ替わるまで渡らずに待つ。

 その間、霊柩車か救急車かパトカーが横断歩道の前に止まったら、その日は失敗となる。


 それらの車両が止まらなかったら、横断歩道を渡り団地の脇道に入る。

 この時、向かいの団地の四階の住人に見られてはいけない。

 見られたら呪われると言うが、その詳細は不明だ。


 団地を通り抜けると急な坂がある。

 その坂を下りながら炭酸飲料を飲み切る。

 この時、少なくとも坂を下りきるまでげっぷをしてはいけない。


 あと、坂を降りきると黒い犬がいるときはすぐに引き返すこと。

 この犬は番犬で誰もその道を通さない。

 無理やり通ろうとするとかみ殺される、とのことだ。


 坂を下り終わると、公園の入口が見える。

 公園の入口に、今はもうないはずのゴミ箱が設置されているので、そこに炭酸飲料の空き缶を捨てる。

 捨てた後、そのゴミ箱にむかい、二礼二拍手一礼をする。

 この時に何か願ってしまうと、その願い事は決して叶わないと言われている。

 願いもゴミ箱に捨てられてしまうとのことだ。


 この手順で公園に入ると、普段は誰かいるはずだが公園には誰もいない。

 公園に誰かいた時点で失敗だ。

 もしくはいるのは異界の住人なので、すぐに坂の上まで引き返すように。

 

 公園に入って誰も居ないことが確認できたら、まず左折する。

 すると遊具がある場所へと出る。


 そこにはもう撤去されたはずの回転遊具がある。

 その回転遊具を左回しに三回ほど回す。


 そうするとシーソーが一人でに動き出す。

 それが合図だ。

 なんの合図かは詳しくは聞けなかった。


 とにかくシーソーが動いたのなら、遊具のある場所の北側の出入り口から出て噴水のある池のある場所へ行く。


 噴水のある池に十円を投げ入れる。

 この時、五円玉を投げ入れると、池の中へと引きずり込まれると言われている。

 

 噴水池のある所を西側の出入り口から出る。

 そこは数年前に取り壊しとなった児童ホームがある。


 児童ホームの中では子供が遊んでいるが、目を合わせてはいけない。

 目を合わせた場合は鬼ごっこが始まり捕まると二度と戻ってこれないと言われている。


 そのまま、児童ホームの前を西へと進むと、公園の森へと出る。

 ここまで来れれば、顔の木まではもう少しだ。


 森の入口から右に三番目、その木からまっすぐ西へ進むと、大きな木がある。

 その大きな木を右回りに三度回る。


 そうすると、北側に公園の出口、南側に顔の木が現れる。

 顔の木と出会いたくない場合は北側の出口から出ること。それで現実の世界に戻れる。


 南に行き、顔の木の前に行くと、顔の木の顔が話しかけて来る。

 その問いには必ず嘘で答えること。

 本当のことを言ってはいけない。


 顔の木の質問が終わると、やっとあなたの番だ。

 顔の木に質問することが出来て、顔の木はなんでも答えてくれる。


 帰りは北側の出口からすぐに帰れる。

 ただし、顔の木に答えてもらったことは誰にも言ってはいけない。

 それが決まりだ。


 小学生が考えそうな噂話だろ?





かおのき【完】

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