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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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どーなつのあな

 少女は夢を見た。

 それがすぐに夢だとわかるような夢だ。

 

 お茶会をしている夢だ。

 少女のお茶会の相手は、きぐるみ達だ。


 豚のきぐるみ。

 あひるのきぐるみ。

 象のきぐるみ。


 その三体のきぐるみが正方形のテーブルを少女と共に囲んでいる。

 少し赤みがかった紅茶と、ドーナツが用意されている。


 お茶会の部屋も随分ファンシーな部屋で、少女はすぐにこれが夢だと気づけた。


 きぐるみ達は何も話さない。

 きぐるみの口で器用に紅茶を飲み、ドーナツを食べている。


 少女はふとドーナツの穴を覗いてみた。

 世界が一変する。


 ファンシーなはずの部屋が、自分の家の何の変哲もない食卓へと変わっていた。

 今度はドーナツの穴を通して少女はきぐるみ達を見る。


 豚のきぐるみは知らない小太りの男性となった。

 少女には目もくれずドーナツだけを食べ続けている。


 次に少女はあひるのきぐるみを見る。

 知らない女性が少女をじっと見ている。

 紅茶にもドーナツにも手を付けず、じっと無表情に無言で少女を見続けている。

 

 少女は象のきぐるみを見る。

 そこには怪物がいた。

 見たこともない怪物だった。

 肉塊のようなそんな怪物がドーナツ片手に紅茶を優雅に啜っている。


 少女は最後にドーナツの穴を通して自分を見た。

 少女の体は骨しかなかった。

 骨が服を着て椅子に座っている。


 だが、少女は驚かない。

 これは夢なのだから。


 少女は夢から覚めて無事だったのかって?

 それはそうだろう、この話がこうして伝わって来ているのだから。

 ただ、夢の結末がどうなったかまでは伝わっていない。




どーなつのあな【完】

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