表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それなりに怖い話。  作者: 只野誠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

108/677

だれかいる

 少年の家には昔から誰かがいる。

 その姿を見たことはない。

 少年の父も、母も、祖父も祖母も、その誰かを見たことはない。


 だけれど、少年の家にはまだ会ったこともない誰かが確実にいる。


 他に誰もいないときにドアが開く音がする、階段を登る音がする、廊下を歩く音がする。

 確認しに行くが、誰もいない。

 少年だけではない。家族の全員が体験していることだ。

 誰かいるのだが、その姿を絶対見ることはない。


 ただ稀に鏡に映ることがある。

 さっと視界の端に黒い影が見えることがある。

 半開きの扉の隙間から覗いてくる誰かがいる。


 それが誰なのか、誰も知らない。

 

 自称霊感のある人物をその家に連れて行けば、その真偽がわかる。

 本物の人達はよくわからない、良い物なのか悪い物なのか、それすらわからないが何者かがいると言う。


 偽物の人は大体、良くない者だと言う。稀に先祖の霊だ、なんていう人もいる。

 何もいない、とそういう者もいる。


 まあ、その真偽は定かではないが。

 少なくとも少年はそう思っていたようだ。


 この家に居るものはそう言った物ではない。


 では、なにか?

 そう問われれても誰も何もわからない。

 この家に隠れ住んでいる者はそう言った存在だ。

 少年はそう、何となくだが、そう考えていた。


 ただ少年の家は古い家だ。

 とても古い家だ。

 建て直しをしなければならない時期が着た。


 少年の家族は、今まで住んでいた家を建て替えることにした。

 まあ、仕方のないことだ。

 雨漏りもするような古家にいつまでも住んでられない。


 だが、少年の家の解体はとても手間取ったと言う。


 機材が急に故障するし、誰かを解体中の家の中に見た、などの話が相次いだ。

 お祓いもしてもらったが、なにも効果はない。

 それでも家は解体され更地となった。


 そこに新しい家が建てられる。

 新しい家では、そのだれかを見ることはなくなった。

 

 あれが誰だったのか、やはり誰も知らない。




だれかいる【完】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ