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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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あなのおく

 とある寂れた神社の裏手に洞穴がある。

 それほど深い穴ではなくすぐ行き止まりになる様な洞穴だ。

 しめ縄のようなものがかけられた洞穴。

 言い伝えもなにもない。ただの洞穴。

 ただ、付近のお年寄りに聞くと、なんだか知らないが昔からその洞穴には入るな、と、そう昔から言われている。

 そんな洞穴。


 それが少年達が聞いて回った成果だ。


 少年達はその洞穴で肝試しをすることにした。

 好奇心溢れる年頃の少年達がそんな洞穴をほって置くわけはない。


 懐中電灯などを用意し、少年達はわざわざ夕方を待ってから、その洞穴に突入した。


 洞穴には柵も何もない。

 あるのはしめ縄のような物だけだ。

 入るのは苦労しない。

 しめ縄をくぐるだけだ。


 少年達は懐中電灯を照らしながら、おっかなびっくりと洞穴の中を進む。


 洞穴の内部には、じめじめとして涼しい、と言うよりは、底冷えするような冷たい空気が漂っている。


 洞穴をすこし進むと広い空間に繋がっている。

 色々なものが、本当に色々なものが無造作にだが一応は並べられて置かれている。

 いや、丁寧に捨てられている、と言った方が良いかもしれない。


 ボロボロの人形、破れた着物、枯れた植物、カビで汚れた絵画、古い掛け軸、数々の木箱。

 それらの物が暗闇の中に所狭しと置かれている。

 どれも手入れはされていない。

 だから、捨てられているのだと少年達には思えた。

 その証拠に、じめじめとした洞穴内だからか、黒いカビなどがそれらの物を覆っている。


 少年達は嫌な雰囲気を感じ始める。

 何者かに見られているような、それだけではなく、悪意を向けられているような、そんな言葉にしようもない雰囲気が辺りに立ち込めている。


 ただの物置じゃん、と少年達の誰かが言った。

 別の少年が何かを見つける。

 これ、と言ってその少年が指さ、懐中電灯を向けた先には、まだ新しいわらの人形と長い釘が置かれていた。


 それを見た別の少年が言った。

 ここで呪いの品のような曰く付きの物を保管しているんじゃないかと。

 

 改めて少年達は洞穴の奥の空間を懐中電灯を使い見渡す。

 そう言われれば、それが最もしっくりくる。

 そんな場所だった。


 一人の少年が後ずさり、逃げ出そうとする。

 あとは雪崩式だ。

 それに気づいた少年達は我先にに洞穴から脱げだす。

 一斉に逃げ出す。

 一度走り出してしまえば止まりようがない。

 まさに恐怖に駆られているその瞬間だ。

 全員何事もなく洞穴の外に出られる。

 少年達はすぐに肝試しを止め、何事もなく家に帰った。


 この神社の裏手にある洞穴がなんなのか、少年達は未だにその真相は知らない。


 ただ少年達が大人になった今も、その洞穴は同じ目的で使われ続けている。





あなのおく【完】

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