表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/72

酔祭

 リアニ、カリス、ミシェル、ラヴィエルの一行は寒風吹きすさぶ北の大地、そしてリアニとカリスの故郷でもあるルーメンへと向かっていた。

 その道すがら、幾度か低劣な悪魔の群れに遭遇し戦闘になったが、修羅場を超えたリアニや最上位天使の下で訓練したカリスとミシェルの敵ではなく、ラヴィエルはその様子を観察し、適宜アドバイスを伝えられるほど余裕があった。

 しかしオブスカーラの戦いは双方共に大きな痛手となったようで、悪魔達は壮絶な恨みと執念の下襲い掛かってきたのだ。

 接敵するごとに悪魔たちは口を揃えて「ルシフィア様の仇!」と言って魔法を放ってきたり、分け目も降らずに突進してきたりしたが、四人はいい迷惑だと彼らに一瞥をくれることなくなぎ倒して進んでいった。


 そうして気温が下がり、深々とした雪が降り始めた頃、北の大地ルーメンのシルエットが目に入り、そのままスワヴォータの村まで降下していく。

 柵と独自の結界で囲まれた村の入り口には見知ったお面を被った門番がおり、こちらに気づいて大きく手を振り声を上げる。

 その声に村の者たちが群がってきて、リアニたちはラヴィエルを除いて歓迎される。

 先に三人が中に入ると、ラヴィエルのみ門番に止められて「キィィィー!」という大きな声で威嚇されていた。

 カリス曰くあの威嚇は「ダメだ」という意味合いを持つようであり、リアニの不安は的中してしまった。

 しかしそんな中村長が「何事か」と言わんばかりに遅れてやってきて、門番が止めているラヴィエルの姿を見る。

 するとたちまち村長は奇声をあげながら後ろに大きく腰を抜かすと、すぐに姿勢を改めて土下座をし始めた。

 そして村の者たちにラヴィエルの正体を話したのか、その後すべての者がラヴィエルの前に跪いて、深々と頭を下げ始めた。

 ラヴィエルはその中をゆっくりと歩いて三人の下へとやってくる。

 「ね? 大丈夫だって言ったでしょ?」

 「最初はどうなることかと思いました……」

 「でもこれでスワヴォータの皆さんも話を聞いてくれると思いますし、よかったですよ」

 リアニが胸をなでおろす中、ミシェルは早速本題に移ろうとすると、その前に村のみんなからいつもよりも豪勢な宴がとり行われ、ラヴィエルは村の中央で神のような台の上に祀られるように座らされると、その周りを村のみんなが独特な音楽と踊りで彼女の周囲を踊って回った。


 そんな中、リアニは一人でとある人に会いに行く。

 手にした酒を止めることなくごくごくと飲むその女性はスワヴォータの民の中で唯一外の言葉が理解できる物知りな女性で、リアニがこの村へ来たときはどんな状況であっても必ず顔を出すようにしている。

 いつもつけている仮面を右側頭部にずらして豪快に酒を飲む彼女の名は「ジクリア」という。

 これはあくまでも外の言語で似通った発音にしているだけで、正確にその音を真似することは難しい。

 ジクリアはリアニに気づくと持っていた酒瓶を大きく振り回して、酔いが回った赤い顔に満面な笑みを浮かべる。

 普段は仮面に隠れている彼らの顔は普通の人間と大して違いはないが、尖った耳はエルフを想起させるものとなっている。


 「リアニ~! ひさしぶり! よくきたね!」

 「ジクリアさんお久しぶりです。相変わらず酔っぱらってますね……」

 「これぐらい、よっぱらいじゃない。きょう、どうしたの?」

 どこか片言気味だがその流暢な発音は外の言語を必死に学ぼうとした彼女の努力の現れである。

 その努力にはカリスの協力があったため、彼女はスワヴォータの言語を多少理解できるのである。


 リアニは今回の訪問の経緯をジクリアに伝えると、彼女は大きな笑い声をあげて酒を一口飲む。

 すると村の中央で騒いでいた村長を大声で呼びつけると、彼女たち特有の言語でこちらの来訪の意を伝えてくれた。

 村長は大きく頷いていたため、今回は協力してくれるようだ。

 「ただ、リアニちゃん。わたしたち、ここ、はなれられない。せかい、いけない。ごめんね」

 「ううん! 謝らないで! 今回協力してくれるだけでも本当に助かるの! ありがとう!」

 感謝の意を伝えるとジクリアは嬉しくなったのか、そのままリアニへ抱き着いてくる。

 彼女の体から香る酒の香ばしいにおいがリアニの鼻をつんざく。

 そうして二人は用意された様々な料理を取り分けて来ると、そのまま二人で会話に花を咲かせる。


 「それにしても、てんしさま、おどろいた。でんせつ、そのままだった」

 「私も初めて会ったときはびっくりしましたよ。私が会ったのは別の天使様なんですけど、すごい迫力でしたもん」

 「ラヴィエルさま、はくりょく、すごい。それに、かのじょ、すごくつよい」

 「見るだけでわかるんですか?」

 ジクリアはコクリと頷くと、祀られているのを誰よりも楽しんで、大笑いしながら騒いでいるラヴィエルへと視線を移す。

 「かのじょ、リアニちゃん、カリスちゃん、ミシェルちゃんより、すごくつよい。けはい、ちがう」

 ジクリアの評価は的を得ており、一目でその強さが魔女三人衆よりも別格であることを見抜いていた。

 しかしその後彼女はこう続けて言った。

 「でも、リアニちゃん、ラヴィエルさま、けはい、にている。いや? おなじ?」

 リアニとラヴィエルから似たような気配を感じ取ったと言ったのだ。

 ”希望”の加護は天使アスピエルの力だったという話をシエルからされていたリアニは、彼女の人の力を見抜く慧眼に驚かされた。

 「そうかもしれないですね。私の力は元々天使様の力だったと聞いてますから」

 「――っ! おどろいた。リアニちゃん、てんしみたい。ずっとそう、おもってた」

 「それは……んん……そうでしょうか……?」

 「てんしみたい、かわいさ、ある。リアニちゃん、みんな、てんし、いってる」

 「てて、天使みたいなかわいさっ!? いや、大袈裟ですよジクリアさん。私はそんな……」

 そこまで言いかけたところで顔を赤くしたカリスと怒った様子のミシェルがやってきた。

 「りあにはぁ! てんしだよぉ! よぉしよしよし! きょうもくぁいぃなぁ!」

 「リアニちゃんの可愛さは天使級、いやそれ以上です! 異論はリアニちゃんでも認めません!」

 呂律の回っていないカリスと頬を膨らませるミシェルは揃ってリアニの魅力を語る。

 その勢いは自分の可愛さを認めないリアニを叱りつけるようなもので、あまりの勢いに二人は少し引いてしまった。

 「なんで私は今怒られているんだろう……」

 「「ちょっとリアニ(ちゃん)!! ちゃんと聞いてる!?!?」」

 暴走した二人が収まるまで、リアニはその説教を聞かされ続けたのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございました。


閑話的な扱いなので少し短めで申し訳ないです。

次回からいよいよ作戦に移っていきますが、みんなべろんべろんに酔っぱらって大丈夫なんでしょうか……


ブックマークのご登録、ご感想等いただけるとモチベーションにつながり、創作活動はかどりますので、ぜひぜひお願いいたします!!

また誤字や脱字等ございましたご報告のほどお願いいたします。


拙い物書きですがこれからもよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ