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人界人物録 【ミアルバーチェの勇士たち編】

以下の資料は、熾天使シエルをはじめとした天界で最も腕の立つ者たちが、人界の者たちの戦いの腕や持ち合わせる素質などを、客観的に評価したものである。

評価段階は五段階に分かれ、劣悪、低劣、平凡、卓越、超越の順に評価されている。

なおこの評価はシエルが人界へ降り立った時の物であり、今後この評価が大きく覆る可能性は十分にある。

 イーバンダ【不死の勇将】


 筋力:超越

 体力:超越

 魔力:劣悪

 精神:卓越

 才能:平凡

 頭脳:超越


 【熾天使フィグミエルの所見】

 フォルティスの六十二歳の男性で、ミアルバーチェの軍をまとめ上げる総指揮官を務める。二百年は生きるフォルティスの中では彼はまだまだ若い方だが、その圧倒的な采配と彼自身の戦闘能力は、その若さに見合わぬものであり、評価に値する。

 魔法の才こそないものの、存分に鍛えられた体は数多の敵をなぎ倒し、”鬼神”のごとき強さで相手を圧倒する。

 彼は特別才能に恵まれていたわけではないが、そのたぐいまれなる頭脳と血の滲むような努力の末、今の強さを手に入れたようだ。(フォルティスはその多くが筋力全振りタイプだが、彼はその中でも異質)

 記憶力は特別に高いようで、軍に所属する兵一人一人の名前や好み、相性なんかを事細かに把握しており、それが彼らの士気を高める要因にもなっている模様。

 彼が”不死の勇将”と呼ばれる所以となったのは、十年ほど前に起きたゴスミアの領土戦争での彼の活躍が大きい。その時はエンデが世界中に蔓延り始めた頃で、湖周辺に奴らがなぜか近づかないという情報が出回り始めた頃。その地を独占しようと六つの派閥の人々が争い合い、その内の三つが滅ぶこととなった。そうしてできた町がミアルバーチェ、オアリア、セレネの三つ。

 その戦いの中で、彼は押し寄せる大量の軍を相手にたった一人で対抗し、見事にその軍を撤退にまで追い込んだという。

 人界の中でも屈指の強さを誇る彼だが、少し鈍感なところもあるみたいで、好意を寄せられても気づいていない、あるいは友情と勘違いしているなど、何人かのアプローチに悉く断って(?)いる。

 普段は全身を覆う鎧に身を包んでいるので、素顔を晒すことは滅多にないのだが、食事や宴の際にはその素顔を見せ、大いに盛り上げている一面もある。

 その顔と体はまさに狼そのものであり、狼が二足で立ち上がっている様と表記すれば想像できるだろう。体毛は青みがかった灰色で、目は鋭い黄色で獲物をにらみつける。




 フェロズ【ミアルバーチェの盾】


 筋力:卓越

 体力:超越

 魔力:平凡

 精神:卓越

 才能:卓越

 頭脳:平凡


 【熾天使カミュエルの所見】

 イーバンダと同じフォルティスの男性で年齢は八十七歳。約一メートルほどの大型の盾と同じぐらいの長さの剣を扱う前衛型の兵。その実力は確かなものであり、部隊を任されることも多いようだ。

 彼が身にまとっている鎧も分厚く、武器も盾も大型で一見その動きは鈍重そうに見えるが、その種族も相まった並外れた足の筋肉のおかげか、そのような重装備でも市街地を駆け回って戦うことができる。鈍重な剣を振り回すだけでも十分な威力だが、彼はそこに自身の氷の魔法を纏わせてさらに攻撃力を上げているようだ。(俺が拳に魔力を乗せてるのと同じ原理だな)

 しかしそこまで特筆した魔法の才能はないようで、彼が使えるのはその氷の魔法とあとはちょっとした火や水の魔法に魔力壁が使える程度で、彼が保有する魔力もさほど多くない。

 彼は多くの戦場を渡り歩いてきたからか、かなり戦闘慣れしているように見える。また戦場で起こるあらゆる想定外の事態に対しても冷静に対処できるようだ。

 戦闘の才能でいえば人界の中でも最上位クラスと言えるだろう。終わりの使徒(エンデ・アポストロ)で十分に戦い生き延びることができているのが、それの証拠と言えるだろう。

 ただそれ以外の面においては一般の者と大差ない。

 義理人情に厚い者で、筋はきっちりと通すタイプ。人付き合いが上手く兵や住人にはよく信頼されているようだ。

 彼の顔は狼そのものだが、イーバンダと違い体はかなり筋肉質な人間の体をしている。体毛は赤みがかった橙色で、その目はイーバンダと同じ鋭く黄色い目をしている。

 (その毛の色といい、戦い方といいどことなく親近感がわいてきた)




 カルマ【冷静沈着な参謀】


 筋力:平凡 (足のみ超越)

 体力:卓越

 魔力:卓越

 精神:超越

 才能:超越

 頭脳:超越


 【熾天使エスハイエルの所見】

 ライファ―の男性で年齢は三十六歳。常に冷静に事に向き合い、どのような状況下でも動揺することがない鋼の精神を持ち合わせる優秀な参謀役であるようだ。

 彼の体格は一般のそれと大差ないように見えるが、下半身の筋肉がかなり発達している。これはライファ―特有のもので地面を蹴る力が非常に強く、それが馬のような足の速さを実現させている。

 その足の速さを生かして対象に一気に近づき、忍ばせている短剣で急所を突くのが彼の基本の戦い方のようだ。諜報員というより暗殺者という方が彼には似合うかもしれない。

 また彼が保有する魔力はあの魔女や龍女にも劣らないほどの物であり、魔法の方でもかなりの才能を持ち合わせているようである。特にメフィスとの戦いで見せた堅固な魔力壁は見事なものであった。

 かなり才能に恵まれている天才と呼べる者だが、その才能のみに驕らず常に努力も絶やさず行っているようだ。メフィスとの戦いに参加した勇士たちの中で、彼が最も強いと言っても過言ではない。今後彼の力を最大限に引き出せるように訓練できれば、熾天使クラスとまではいかなくとも主天使クラスであれば容易に並び立てるだろう。

 彼の容姿は人間の体に馬の耳と尻尾が生えている。髪の毛は茶色の長髪で目は糸のように細い。




 ハイロン【翡翠の治療者】


 筋力:低劣

 体力:平凡

 魔力:平凡

 精神:低劣

 才能:卓越

 頭脳:平凡


 【熾天使ミミエルの所見】

 人間の女性でかなり優れた治癒魔法の使い手で、年齢は二十七歳。今まで私たちが評価してきた者たちはどこか人離れした力を持っていたが、彼女はそうでもなく一番普通の人間に近いと言っていい。

 筋力も体力も一般の女性の平均的なものであり、特筆してあげる点はない。

 彼女が他の者と異なる点は、その治癒魔法の才能だろう。彼女自身が保有する魔力の量は決して多くはないが、空間魔法力を使用する彼女の治癒魔法はあらゆる傷をきれいさっぱり治してしまう。現にメフィスとの戦いで死にかけていたイーバンダをあっという間に回復させて見せたのだ。

 天使たちも治癒魔法が使える者が多いのだが、彼女レベルの治癒魔法の使い手はかなり限られてくるだろう。

 その気になれば失った体をも修復することができるようになるかもしれないほど、治癒魔法の才能が特別に秀でている。

 しかしそれ以外のことに関しては本当に年相応の人間といった様子で、少し戦場慣れしている程度だろうか。

 いくらか攻撃魔法や魔力壁なんかも使えるようだが、前で敵と戦うのにはあまり向いていないだろう。

 容姿は長い翡翠色の髪の毛にほんのり垂れた目も翡翠色。顔立ちは大人っぽく、スタイルもよいことから実年齢よりも大人に見られることが多いようだ。

 (まあ容姿だけに限らず、その妖艶な声とまるで母親のような面倒見の良さも相まっているのだろう)




 シリカ【謎の狙撃手】


 筋力:卓越

 体力:卓越

 魔力:??

 精神:超越

 才能:??

 頭脳:超越


 【熾天使シエルの所見】

 全身をローブや布で覆い、フードを深くかぶったうえでさらに顔にもマフラーを巻いており、とにかく肌を露出しないようにしているため、顔どころか種族さえも分からない。

 (食事や入浴など必ず肌を露出する時があるはずなのに、誰もその姿を見たことは無いらしい)

 ただその声色からして恐らく女性である。

 彼女は常に背中に大きなボウガンを背負っている。かなり使い込まれているようだが、その分手入れも欠かさずに行っているところが何度か目撃されている。

 彼女の身長ほどの大きさのそれは、威力と貫通力と射程の全てが高水準であるようだが、扱うにはそれなりの力が必要になるだろう。

 また彼女は狙撃手でありながら、非常にアクロバティックな動きができるようだ。

 彼女の戦い方は狙撃手というよりは狩人と呼ぶ方がしっくりくる。対象の行動の先読み、狙撃地点の選び方、あらかじめ設置してある罠など、まるで動物を狩るかのような戦い方をする。またその動きは熟練したものであり、数多くの経験とそれによって培われた感覚が遺憾なく発揮されているようだ。

 かなり頭もよく、物怖じしない性格のようで、初対面の相手にもズバズバと自分の意見をぶつけていく人のようだ。

 聞いた話によると、彼女はリアニとカリスの事を知っていたらしいのだが、二人は彼女との面識は全くないらしい。

 (この点について心当たりのある人物がいるため、独自に調査を進めさせようと思う)

ここまでお読みいただきありがとうございました。




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よろしくお願いいたしやす。

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