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【7話】氷◾️秘書




挿絵(By みてみん)



色々なことを考えていたら、いつの間にか森を抜け街に着いていた


【氷歌】

「・・・・・・」


・・・光の都市ルルーカ

・・・誰もが憧れる大都市

初めてこの街に来て2ヶ月程度経つが

・・・今だこの華やかな雰囲気には圧倒されるものがある


【鷹】

「・・・今日は天気が良いな」


街並みを見渡すように歩いて行く鷹様の後に続いた


【氷歌】

「・・・あのお尋ねしてもよろしいですか?」


どんどん進む鷹様の背中に声をかけた


【鷹】

「んー?」


【氷歌】

「・・・何故、遠回りされているのですか?」


少し私に目を向けて下さった鷹様に尋ねた

家路に向かっているのはたしかだが

・・・何故か鷹様は正面入り口を避けるように通りすぎた


【鷹】

「だって前から入ると、おかえりなさいませ~とか言って頭下げられてウザいじゃん、だから、裏から入るんだよ」


本当にウザそうに吐き捨てている


・・・まぁ確かに

・・・鷹様が通られるなら使用人たちは皆頭を下げるだろう

・・・でも鷹様はそれを良く思っていないようだ

・・・つまり鷹様は煩わしい事がお嫌い

・・・覚えておこう


裏から回り込むように鷹様と共に高級感漂う建物の中に入った


「おかえりなさいませ」


それを予期していたかのように一人の女が頭を下げた

その女は体のラインが分かるようなタイトな服を着ている


【鷹】

「・・・今から何すんの?」


その女の横を通りすぎながら鷹様が尋ねてこられた


・・・確か今から行われるのは会議

・・・内容は非公開のはず


【氷歌】

「幹部を集めた会議です」


鷹様の後ろを歩きながら手短に説明をした

・・・が


【女】

「友好都市周辺地域の治安改善を目的とした集会です」


さっき私達を迎え入れた女が私と並ぶように鷹様の後ろにつき説明を始めた


【女】

「おそらく鷹様が指揮をとり地域に赴くことになるかと思いますので、その知略を練る会談となるかと思われます」


落ち着いた言葉で詳細な説明を入れ


【女】

「・・・・・・ふ」


私に向けてドヤ顔を決めてきた


・・・さっき私が聞いた時には知らないって言ってたくせに

・・・この女は・・・はめたわね!


【鷹】

「・・・んじゃ行ってくる」


そう言って鷹様は会議室へと入って行った


【氷歌】

「・・・会議内容は非公開じゃなかったのかしらぁ?」


イラつく女にひきつる笑顔で言葉を向けた


【女】

「非公開よ?限られた人間しか知ることの出来ない情報だもの」


そんな私を見下すように返してきた


【氷歌】

「・・・貴女分かってる?私は鷹様の技能者になる為にここにいるのよ?鷹様の行動を把握する必要があるの」


【女】

「貴女こそ何か勘違いしてるんじゃありません?」


そう言って不愉快そうに顔を歪めた


【女】

「貴女はただの技能者、ガードマンよ?

 鷹様の身を体をはって守る、それが貴女の役目、ただの鎧でいれば良いのよ」


吐き捨てるように私を睨み付け


【女】

「・・・使い捨ての防具がペチャクチャ喋らないでくれる?・・・目障りなのよ」


脅しでもかけてるかのように低い声で返して来た


・・・使い捨ての防具か

・・・言ってくれるわね


【氷歌】

「・・・言葉には気を付けたほうがいいわよ?・・・誰に口聞いてんのか分かってんの?」


子憎たらしい女をにらみ返してやった


【女】

「あらやだ~!ぶっ細工な顔で見ないでくれる?ブスがうつるから」


そう言ってカンに障る笑い声を上げた


【氷歌】

「このっ!」


【女】

「口で勝てなかったら暴力かしら?」


思わず体を動かした私を止めるように言葉を重ねた


【女】

「これだから脳筋女は嫌いなのよ~言葉が通じないって不便だわ~」


馬鹿にするように首を横にふった

・・・この女ぁ!ぶっ叩いてやりたいっ!


【氷歌】

「・・・・・・・っ」


奥歯を噛みしめ必死に沸き上がる怒りを押さえ込む


・・・落ち着くのよ氷歌

・・・こんな女と張り合う事が無意味

・・・同価値に落ちてはダメよ


【女】

「・・・何の目的で鷹様に近づいてるか知らないけど・・・絶対渡さないわ」


壁にもたれ掛かるように誰に向けたか分からない言葉を発している


【女】

「・・・どれだけ苦労して鷹様に使えてきたか・・・あんたに分かる?」


そう言って私に目を向けた


【女】

「・・・絶対玉の輿に乗ってやる・・・種さえ貰えたらそれでいいんだから」


吐き捨てるように顔を歪めている


【氷歌】

「・・・・・」


そんな女の姿に一気に怒りが冷めた


・・・下らない女

・・・こんな女が秘書なんて鷹様が可哀想だ


その後もグチグチとこぼす女の言葉を右から左に聞き流し、華麗にスルーしてやった



しばらく待っていると会議室から人が出てきた


・・・おそらく会議が終わったのだろう

ぞろぞろと出てくる上層の人々に軽く頭を下げた


「・・・一体何の目的で女の技能者なんて選んだんだろうね」


通りすぎる人の馬鹿にするように笑った声が聞こえた


【氷歌】

「・・・・・・」


・・・気にする必要なんて無い

・・・無視無視


必死に自分に言い聞かせた


【氷歌】

「お疲れ様です!」


会議室から出てきた鷹様に向けて深く頭を下げた


【秘書女】

「資料をまとめてお部屋まで運んでおきます」


私と同じように頭を下げた如何わしい秘書が頭を上げながら鷹様に告げた


【鷹】

「・・・はいはい、よろしく~」


軽く返し、廊下を進んで行く鷹様の後に私も付いて歩き出す


【氷歌】

「・・・・・・」


が、すぐに元の会議室の前に立つ秘書の元に戻り


【氷歌】

「・・・ぶーす!」


如何わしい秘書に一言告げ、鷹様を追いかけた


・・・ちょっとスッキリしたわね


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