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【72話】青◾️両腕を失った女性


◾️◾️鷹視点◾️◾️

挿絵(By みてみん)



下の階に降りて歩きしばらく進んだ先で幹部は足を止めた


【メガネ】

「・・・女性は両腕を失い、精神的にも肉体的にも弱っています・・・できる限りの配慮を心がけてください」


【鷹】

「・・・わかってる」


静かに言葉を返し

扉をノックし、ゆっくりと開けた


その中にはベッドから体を起こした女性の姿


【鷹】

「・・・失礼します」


深く頭を下げ、部屋に足を踏み入れた

そんな俺に続くように氷歌も頭を下げ部屋に入り


【鷹】 

「・・・今回、私共の力不足で取り返しのつかないこととなりました事を・・・心からお詫び、謝罪させていただきます」


そう言って深く女性に頭を下げ


【鷹】

「・・・本当に申し訳ありませんでした」


本心からの謝罪を告げた


【氷歌】

「・・・申し訳ありませんでしたっ」


そんな俺に続くように氷歌も頭を下げた


【女性】

「・・・・・・・・・」


俺たちの言葉に女性は小さく息を吐き


【女性】

「・・・私・・・息子がいるんです」


小さな女性らしい穏やかな声で話を始めた


【女性】

「・・・その子が生まれてすぐに主人が亡くなって・・・ずっと、息子と二人で生きてきたんです・・・私が一日働いても一食分程度の賃金しかもらえず・・・家も失い、路上で暮らす生活を何年も続けていたんです」


・・・ずっと、子供と2人、あの街で生きて来たのだろう


【女性】

「・・・それでも・・・私は幸せだった・・・毎日、毎日息子が少しずつ大きくなる事が・・・毎日、毎日私の両手で抱き上げて来れた事が・・・最近では重たくて高く持ち上げる事ができなくなるほどに大きくなって」


思い出を語るように少し微笑み


【女性】

「・・・そんな時・・・貴女にぶつかったんです」


【氷歌】

「っ・・・・」


・・・そう言って笑顔が消えた視線をゆっくり氷歌へと向けた


【女性】

「・・・去っていくお二人の背中を眺めながら息子が私に言ったんですよ・・・どうして、あの人たちはキラキラしているのって・・・僕たちと何が違うのって・・・私に訪ねてくるんですっ」


その言葉を発した瞬間、女性の目から涙が溢れ始めた


【女性】

「・・・私は自分が幸せだからっ息子もきっと幸せでいてくれてると思ってた・・・でも、その言葉で、それは間違いだと気づかされたんです・・・私の元に生まれて来た、この子は・・・生まれた時から幸せなんてなかった・・・私の子供として生まれて来たこの子は・・・生まれながらに不憫な思いしかしていないんだって」


【鷹】

「・・・・・・・・」


その言葉で美羽の言葉を思い出した


・・・俺たちは生まれた時から恵まれた世界を生きてる

・・・当たり前のように恵まれた環境に生きている


・・・毎日の当たり前に取る、ただの食事だけでも

・・・十分に恵まれているの事も忘れるように


【女性】

「・・・その後すぐです・・・あの人に声をかけられたのは・・・私の元に来れば・・・この生活から抜け出せる・・・だから、私に付いて来てくださいと私に手を差し伸べて来たんです」


・・・それは、きっと

・・・あの指揮官の事だろう


【女性】

「・・・怪しいと分かっていました・・・そんな事あるはずないと信じてなんていなかった」


・・・その絞り出す声は恐怖に怯えているように感じ


【女性】

「・・・でも、もし一瞬でもこの生活から抜け出せたら・・・一回でもお腹いっぱいこの子に食事をさせられたら・・・それでいいって思ったんです」


・・・この人とその息子がどれだけ悲惨な生活を送ってきたのかを想像させた


【鷹】

「・・・・・・・・・」


・・・もしかしたら


【女性】

「・・・でも、私は両腕を失って助かってしまった」


・・・この人は


【女性】

「・・・両腕を失ってこの先どうやって生きていけばいいのか」


・・・助けられた事を喜んでいないのではないだろうか?


【女性】

「・・・いっそ、死んでしまった方が良かった」


そう言う女性の表情は深い悲しみに満ちていた


【鷹】

「・・・・・・・・・」


・・・人の生きる糧や希望などは人それぞれ


・・・生きていればそれだけで幸せ、そんな言葉は綺麗事だ


・・・生きながらに人知れぬ苦しみを受け続けるくらいなら


・・・死を選ぶ事が救いになる事だってある


【鷹】

「・・・・・・・・・」


・・・両腕を失ったこの女性の

・・・これから先の人生がどうなるのか俺には分からない


・・・でも、それはきっと想像もできない大変な人生だと分かる


【鷹】

「・・・・っ」


・・・もし、俺が

・・・一人で行動をとらなければ


・・・誰かとチームを組み行動を共にしていたなら


・・・この女性が腕を失う事はなかったのかもしれない


【鷹】

「・・・・・・・」


俺が主役のこの世界で俺が選んだ選択が


この女性が主役の1度しかない世界を狂わせたんだ


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