【69話】氷◾️樽
◾️◾️氷歌視点◾️◾️
【ミーナ】
「・・・なんで、ついてくるの?」
ルルーカの街の中
ミーナの後ろを歩く私に苦笑いで訪ねてきた
【氷歌】
「あら?私はミーナ様の護衛と言う仕事をしてるのよ~?」
【ミーナ】
「・・・どうせ、周囲の文句から逃げる口実でしょ?」
私の思惑をピタリと当てて来た
【氷歌】
「耳にタコができるくらい同じ嫌味を言われるのよ?いつまでも相手にしてられないわ」
そんなミーナに愚痴をこぼすように返した
【ミーナ】
「あらあら~大変そうね~鷹くんにクビって言われたんだし~私と契約しちゃう?」
そんな私をからかうように言葉を返してきた
「っえーーーーーーーっ!!!??」
が、そんなミーナの言葉に続くようにどこからともなく驚きの男の声が響いた
その声の発生場所は・・・大きな樽
「っ氷歌ちゃんクビになったの!?なんで!?本当に辞めちゃうの!?」
樽の中から聞こえる男の声は私の名前を呼び、大声で訪ねて来る
・・・その異様な姿は周囲の人の注目を集めた
【ミーナ】
「・・・なに?・・・氷歌って樽に知り合い居るの?」
ミーナも私から距離をとるように苦笑いを向けて来る
【氷歌】
「・・・知らないわ・・・あんな樽」
そんな樽を無視し、歩き続けた
「ちょっと待ってよー!!話をきかせっ!!」
「・・・もう止めた方がいい・・・これ以上は・・・犯罪になる」
帽子を深くかぶった男が樽に注意をしている
【氷歌】
「・・・・・・ホント、恥ずかしい奴」
その場から逃げるように走り出し
早々にミーナの家に向かった
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【ミーナ】
「ちょっと待ってよ~」
私の後を慌てて走って来たミーナが疲れたように声をあげた
【ミーナ】
「私がいないと家には入れないんだからね~?」
ため息混じりにミーナが玄関扉に手を向けると、カチッと小さな音が聞こえた
・・・おそらく鍵を開けたのだろう
【ミーナ】
「そういえばさ~鷹くんのお見舞いに色んな人が来てたみたいね?」
部屋に入りながら訪ねて来た
【氷歌】
「そうみたいね~、どっかのお嬢様ばっかりだけど」
鷹様のお見舞いとして様々なところのお嬢様が訪ねて来られた
・・・でも、どいつもこいつも美羽様とは比べ物にならない人たちばかり
【氷歌】
「美羽様を見た後だと、みんな偽お嬢様にしか感じないわ」
【ミーナ】
「まぁ〜美羽ちゃんは完璧過ぎるお嬢様だからね~」
私の言葉に納得したように返してきた
【ミーナ】
「でも、鷹くんは本当大変だね~大怪我してるのにお見舞いが沢山来てゆっくり寝る事もできないんじゃない?」
【氷歌】
「全部断ってるから大丈夫よ、さすがに寝てる間に面会なんてさせられないわ」
【ミーナ】
「え?さっきレジーナさんがいたみたいだけど、あの人も断ったの?」
少し驚いた様子で訪ねてきた
【氷歌】
「・・・レジーナさんって誰よ?」
が、その名は初めて聞いたものだった
【ミーナ】
「かなり上等のお嬢様よ~確か鷹くんの亡くなられたお兄様と婚約してたとか」
・・・鷹様のお兄様と婚約か
・・・という事はかなりの地位があると考えて良いわね
【ミーナ】
「しかも~かな~り高飛車で強引だって噂よ?」
聞きたいでしょ?と言わんばかりにニヤけた顔で話を続けた
【ミーナ】
「お兄様が亡くなられてからは年下の鷹くんに猛烈アピールしてるらしくて~鷹くんが女嫌いで空想の少女を追い求めるのはあの人のせいなんじゃないかって話」
まるで噂話をするかのように小声で話をしている
・・・この子はもしかしたらこの手の根拠のない噂話が大好きな子なのかも知れない
【氷歌】
「・・・へ~」
なので、軽く流しながら相槌をうった
【ミーナ】
「なによ~人がせっかく教えてあげてるのに~」
そんな私の態度に不満な様子だ
【氷歌】
「別に今は関係ないわよ、鷹様はまだ眠っていらっしゃるし、今頃追い返されてるんじゃない?」
【ミーナ】
「え?言わなかったっけ?鷹くんならさっき起きたわよ?」
【氷歌】
「・・・はぁぁあ!!????」
苦笑いのミーナの言葉に驚きのあまり声をあげた
【氷歌】
「なんで早く教えないのよ!?」
【ミーナ】
「いや!言ったつもりだったけど言ってなかったっけ!?」
怒鳴りつける私に慌てたように返してきた
【氷歌】
「こんな気味の悪い部屋で時間を無駄にしてる場合じゃないわ!!じゃあね!!」
早々にミーナに別れを告げ全力疾走で家に戻った




