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【67話】氷◾️自分より泣いてる人


◾️◾️氷歌視点◾️◾️

挿絵(By みてみん)



血が噴き出す音が周囲に響いた


中を舞う腕は離れた体を求めるように狂い暴れ


残された肉体は時が止まったように動きを止め

壁に持たれるように絶命していた


【氷歌】

「・・・・・・・・っ」


・・・やってしまった


【氷歌】

「・・・・・・・・うっ」


・・・殺してしまった


【氷歌】

「・・・・・・うそっ」


・・・私は


【氷歌】

「・・・・・・・・やっ」


・・・生まれて初めて自分の手で人間と言う同じ赤い血を流す生物を殺した


【氷歌】

「・・・・・っ_____!!!」


動かなくなった指揮官に急に恐怖を感じた


剥き出しになった目は真っ直ぐ私を見ている気がした


その恐怖は想像していた恐怖を遥かに越え


【氷歌】

「________っっ!!!」


目眩を起こしたように視界が歪み

怖いくらいに心臓が脈を打つ


【氷歌】

「っっはっはっ!!」


過呼吸が起こる体の震えを抑えるように目をつぶり両手で体を覆った


・・・私は人を殺した


・・・同じ人間を殺した


・・・私は今、この瞬間


・・・一人の人間の存在をこの世から消したんだ


【氷歌】

「っ・・・・・・・」


この人が死んで泣く人はいるだろうか?


お母さんは?

お父さんは?

兄弟は?

恋人は?

子供は?


私はこの人の名前も知らない


何も知らない人を殺した


【氷歌】

「っ・・・・・」


・・・私は


・・・人の未来を奪ったんだ


「なにビビってんだよっ!!」


そんな私に怒鳴り声が響いた


「自分より怖がってる人間がいるだろ!?自分より泣いてる奴がいるだろうが!!」


【氷歌】

「っ!?」


鷹様の言葉で涙が溢れる目を開けた


視界に映るのは私が殺した指揮官


そして


二の腕から先を失った体を異常に痙攣させる女性の姿


【鷹】

「そんな人の前で!!自分が強くいなくてどうすんだよ!?」


張り裂けんばかりに怒鳴り声を上げる鷹様の言葉はまるで自分自身にも向けているように感じ


【鷹】

「お前が逃げたら誰がその人を救うんだよ!?」


【氷歌】

「っ!!」


その言葉は私の体を強く押してくれた


【氷歌】

「っ大丈夫ですか!?」


止まることない涙を流しながら震える声で女性に尋ねた


でも、目を見開き痙攣する女性から返答ない


【氷歌】

「大丈夫っ!だいじょうぶですからっ!!」


恐怖の涙で滲む視界で必死に女性を励まし、引き裂かれたような腕の傷口を凍らせて止血した


そして、上着で女性の体を覆い

抱きかかえ

階段を飛び降りるように降りた


【氷歌】

「緊急です!処置をお願いしますっ!!」


声を張り上げ、軍の待機した場所まで戻った


そんな私の声に周囲の軍がすぐに動き

女性を私から受け取ると床へと寝かせ回復魔法をかけている


【氷歌】

「お願いします!」


そんな人たちに声をかけ、再び上階へと戻ってきた


【氷歌】

「っ鷹様!?」


そこには切り裂かれたような金網が散乱し、その中には男の子の姿しかなかった


慌てて近づき男の子を確認したが黒い物体に襲われている様子はない


おそらく、この黒い物体は血、傷口にしか反応しないのだろう


【氷歌】

「・・・・・っ」


そして、見渡した先に鷹様の姿があった


顔や腕、全身あらゆる場所が黒く爛れ変色した体を支えた鷹様は


【鷹】

「・・・・・・・・・」


苦痛に顔を歪めながら私の手で絶命したであろう指揮官に手を向けていた


でも、その痙攣するように震える手から放たれている魔力は攻撃性を感じない


・・・むしろ温もりを感じるような魔力


【氷歌】

「・・・・・・・」


そんな鷹様にゆっくりと近づいた


【鷹】

「・・・・・まだっ・・・だいじょうぶっ」


喉の深い奥から声を搾り出すように言葉を発し


【鷹】

「・・・・・俺が・・・助けるからっ」


生気を感じられない鷹様の瞳孔は何処を見ているのか分からなかった


【鷹】

「・・・だから・・・なかないで・・・っ」


【氷歌】

「・・・・・・っ」


ゆっくりと床へと落ちる鷹様の体を支えた


深く目をつぶり微かに呼吸をする鷹様は何故か幼く見えた


【氷歌】

「・・・・・・・」


・・・どうして鷹様が自身の限界まで指揮官を助けようとしていたのかは分からない


・・・何故、「大丈夫」と言う言葉をかけてくれたのかは分からない


・・・それを私に向けていたのかも分からない


・・・でも


【氷歌】

「・・・・・・・」


・・・とても不器用で

・・・無茶苦茶かも知れないけど


【氷歌】

「・・・ありがとうございますっ」


鷹様はとても強く優しいお方だと


私はそう感じた


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