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【66話】氷◾️最良の選択



◾️◾️氷歌視点◾️◾️

挿絵(By みてみん)



飛ぶように真っ暗な階段を上がった先に広がったのは

衝撃で破壊されたような痕跡の残るホールの様な薄暗い禍々しい広い空間

そして、そこに傷を負った鷹様の姿が見えた


【氷歌】

「っ鷹様!」


その姿に慌てて名前を呼び駆け寄った


【鷹】

「・・・え?・・・なんでお前がここにいるんだよ?」


そんな私に少し不満そうに言葉を返してこられた

・・・色々とお話をしたいが


【氷歌】

「・・・指揮者はどうなったんですか?」


とにかく今は任務に集中しなくては


【鷹】

「・・・あそこにいるよ」


そう言って向けた視線の先には

深く切りつけられたような傷の残る男が力なく壁に持たれ座り込んでいた


【鷹】

「・・・瀕死ではあるけど、一応生かしてるよ」


・・・良かった

・・・もし、死んでいたらまた問題になる


【氷歌】

「・・・大丈夫ですか?」


鷹様の体についた傷を確認しながら尋ねた


【鷹】

「・・・別に・・・これくらい普通だし」


そんな私から視線をそらしながら返された


・・・見たところ深く入った傷はない

・・・元気そうだし

・・・大事には至らないようだ


・・・よかった


【氷歌】

「・・・申し訳ありません・・・鷹様をお守りするのが私の役目なのに」


【鷹】

「・・・お前はいなかったんだし・・・いいんじゃない?」


私の言葉にそっけなく返された


・・・私と話す事を避けられているように感じる

・・・でも、早く伝えなければいけない事がある


【氷歌】

「・・・鷹様・・・私っ」


【鷹】

「・・・話は後にしてもらえるか」


私の言葉を塞ぐように鷹様が歩き出した

鷹様が向かう先

少し離れたその場所には床に倒れ込んだ男の子の姿


【鷹】

「・・・大丈夫か?」


しゃがみこんで男の子に声をかけている

男の子は怪我をしている様子はないが気絶しているのか動く事はない


・・・でも

・・・なんか、どっかで見たことあるような気が


【氷歌】

「っ!?」


その瞬間

鷹様と男の子を囲うように天井から金網が降りてきた

そして

その金網の中の鷹様たちを染めるように無数の黒い物体が降ってくる


【鷹】

「げっ!?」


その物体に怯えたような驚いたような声をあげている


・・・あれは

・・・毛虫だろうか?


【鷹】

「っぐ!!!」


が、鷹様の表情が苦痛に歪んだ


【氷歌】

「っ鷹様!!!!」


その光景に声を上げ鷹様の元に向かった


・・・毛虫のように見えるが

・・・あれは毛虫ではない


・・・何故なら

・・・入っているから


・・・蠢くように

・・・かき分けるように


・・・鷹様の体についた傷口から皮膚を盛り上げるように鷹様の体の中へと黒い物体が入っている


【鷹】

「クソが!!!!!」


鷹様が怒鳴り声を上げ魔力の波動を飛ばし

絡みつく虫を焼き尽くした


が、全てではない

何故ならそこには男の子もいるから


男の子をかばうように波動を飛ばした為全てを焼き尽くす事はできていない


【鷹】

「あ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!」


そして、皮膚の中を這い回る物体を掴み、這い回る物体と共に魔法で自身の皮膚を焼いている


【氷歌】

「っ・・・・・!!」


数十匹入っているであろう物体を焼き切った後に残る鷹様の皮膚は


真っ黒なヘドロと血のヌメリが混ざり、沸騰しているかのように泡を吹いている


だが、生き残っていた物体たちが血を求めるように鷹様の体を這い上がり


そのヘドロの泡から鷹様の体内へと無数の列を成し入り込んでいる


モゾモゾと体内を蠢く無数の物体を自身の体を焼き切りながら駆除する鷹様は


恐怖に怯えているようにも感じ

狂気に満ちているようにも感じた


【氷歌】

「っ砕きます!!!」


鷹様たちを囲う金網に手をつけ、氷漬けにし、砕こうと魔力をこめる


が、金網は私の魔力に反応して光輝くだけで、全く氷漬く事がない


・・・私の魔力は完全に弾かれてる

・・・全然、魔力が足りない


氷歌「っ・・・」


・・・私は


・・・どう行動したらいいっ?


「・・・・おかあさんっ!」


突然、響いた


引き裂くような子供の声に目を向けると

気絶をしていた男の子が目を覚まし

どこかを見上げて泣き叫び


母を求めていた


【氷歌】

「っ!?」


その視線の先には両腕を縛り上げ壁に吊るされる女性の姿

その姿に見覚えがあった


・・・この前、私にぶつかってきて生ゴミが入ったバケツをかけてきた女性だ


【鷹】

「なにやってんだよ!?さっさとあの人助けろっ!!!!!」


体が重たく、動けなかった私を怒鳴りつける鷹様の声が聞こえた


【氷歌】

「っ!?はいっ!!」


その声に押されるように、慌ててその女性に向かって走りだした


が、それと同時に地べたに座り込んだ指揮官が手をあげた


・・・その先には


・・・男の子の母親である吊るされた女性


【氷歌】

「動くなっ!!」


怒鳴り声を上げ

その場で足を止め指揮官に手を向けた


・・・魔力ある人間が人に手の平を向ける意味は考えなくても分かる


【指揮官】

「・・・・・・・・・」


・・・もし、こいつが吊るされた女性に魔法攻撃を放てば

距離的に考えて私が防御魔法を使っても攻撃の到達に間に合わない


【氷歌】

「・・・少しでも動いたら・・・殺すわよ?」


・・・ならば、指揮官の動きを封じるのが一番最良の選択のはず


【指揮官】

「・・・・・・・・・」


だが、指揮官は手を下げる事をしない


・・・すでに瀕死の傷を負っているのだから少しでも私が攻撃を向けたら命を落とすかも知れないのに


・・・いや

・・・私が攻撃を加えなくとも

・・・死んでしまうかも知れない


・・・でも、指揮官に怯えた様子はなく


・・・むしろ


・・・笑っているように見えた


【氷歌】

「っ・・・・・・・」


・・・すぐにでも、この指揮官を殺せば女性に危害は出ない


・・・でも、こいつを殺すとその口から情報を得る事ができない


・・・私が動いたら指揮官は女の人に攻撃を放つかもしれない?


・・・私の行動で鷹様へ避難が出るかも知れない?


・・・私の行動でまた鷹様の行動が無駄になるかも知れない?


・・・どうすればいい?


・・・一番最良の選択なにっ?


【氷歌】

「・・・・ったかさま!」


指示を仰ごうと鷹様に目を向けた


その瞬間、空気を引き裂くような音が周囲に響き


「ひぎゃぁぁぁぁああ”あ”あ”あ”あ”!!!」


鼓膜を震わせるような悲鳴が聞こえた


【氷歌】

「っ・・・!?」


目を向けた先には女性の姿がなく

吊るされた手首から先だけが空中に残り

糸を引くように真っ赤な血が床へと流れていた


【指揮官】

「・・・・・・・くっ・・く」


床で悶える女性を見て血があふれる口を開き

引きつった顔で笑い


再び女性に手を向けた


その手に魔力がこもって行くのを感じる


【氷歌】

「っ・・・!!!!」


・・・このままじゃ


・・・あの女性が死ぬ


・・・私はっ


・・・わたしはっ


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