【61話】氷◾️ぐちゃぐちゃの手紙
◾️◾️氷歌視点◾️◾️
「・・・さすがはルルーカの医療チーム・・・傷は完全に消えてるわね」
真っ暗な視界の中で女の声が聞こえた
「・・・今なら・・・失敗しても問題にならないかも」
少し笑ったような女の声
【氷歌】
「っ・・・・・・・」
その声に本能で危険を感じ目を開けた
【ミーナ】
「あ!あらら!?起きたの!?」
そんな私に慌てたようにミーナが声をあげた
・・・どうやら私はベッドの上に寝ているらしい
周囲を見渡すが沢山のベッドが並ぶ見覚えのない部屋には私とミーナしかいないようだ
【氷歌】
「・・・・っアンタ・・・その手に持ってるのは・・・なに?」
起き上がる事もできず、何故か出にくい声を必死に出しミーナを睨みつけた
【ミーナ】
「え!?あらやだ~!なにこれ~!?」
自らの手にしっかりと握っている薄気味悪い深緑の液体が入った小瓶を慌ててポケットに隠している
・・・白々しい
・・・やっぱりこの子は信用できない
【ミーナ】
「そんな事より大丈夫~?」
そして何食わぬ顔で訪ねてきた
・・・そう言えば
・・・私、なにやってたっけ?
【氷歌】
「・・・ここ・・・何処?」
【ミーナ】
「病室みたいなところよ」
・・・病室?
・・・なんで?
【氷歌】
「・・・・・・・・」
・・・思い出した
・・・私
・・・鷹様に吹っ飛ばされたんだ
【ミーナ】
「鷹くんの攻撃魔法で吹っ飛ばされて、遥か高い氷歌の部屋からルルーカの街まで一直線に叩きつけられたのよ?・・・よく助かったわね?」
苦笑いで言葉をかけてきた
【氷歌】
「・・・ほんと・・・よく生きてたわね」
そんな自分に何故か笑いが出た
・・・そして
【ミーナ】
「・・・氷歌?」
・・・何故か涙が出た
【氷歌】
「・・・・・・っ死んじゃうかと思った」
・・・いや
・・・あの一瞬
・・・真っ白に染まった一瞬
・・・私は死んでいたと思う
【ミーナ】
「・・・・・・もう、やめた方がいいわ」
そんな私に優しく言葉をかけてきた
【ミーナ】
「・・・鷹くんに使えるのはやめた方がいい・・・彼に使えるのは普通の人じゃ無理よ・・・今後、こんな事がないとも言えないし・・・反撃なんてしたら本当に殺される・・・身が持たないわ」
・・・もし、また鷹様に攻撃をされたら
・・・私は
・・・生きる事が出来るだろうか?
【ミーナ】
「・・・氷歌は悪くないんだし・・・今、辞退しても誰も文句言えないよ、なんなら私が氷歌を引き抜いたって形にしてもいいしね」
そう言ってニコッと笑ってくれた
【氷歌】
「・・・ありがとっ」
そんなミーナの気遣いに少しだけ気が楽になった気がした
【ミーナ】
「あ!そう言えば~こんなの預かったわよ」
そう言ってポケットから押し込まれたようにぐちゃぐちゃになった白い封筒を取り出した
【ミーナ】
「ちょっと曲がったみたいだけど~中身はちゃんと読めるわ」
【氷歌】
「・・・なに?」
【ミーナ】
「手紙よ、氷歌に届いたってここのお手伝いさんから渡されたの、でも、差出人の名前が無いんだって」
寝たままぐちゃぐちゃになった手紙を受け取り封を開けた
中からはカードのような紙が一枚だけ
そして、その紙には
『帰って来い』
ただ、その一言だけが記されていた
【ミーナ】
「え~?こわ~い!なにこれ?誰からなの?」
差出人が誰か分からなくても
・・・私にはその言葉を誰が書いたものか分かる
【氷歌】
「・・・故郷の・・・家族」
・・・私にはまだ
・・・逃げ道があるって事かな




