【59話】氷◾️優秀さを測る物差し
◾️◾️氷歌視点◾️◾️
【鷹】
「今の姿を見てるとお前って女だよな~普段は全然感じしないけど」
鷹様はなにも気にしていない様子でいつものように話をしている
・・・別にこんな事で騒いだりしないけど
【氷歌】
「・・・あの・・・私、着替えているんですけど」
【鷹】
「ん~?そんなの見れば分かるけど?」
私の言葉に首をかしげながら返してきた
・・・出て行ってほしいなんて言わないけど
・・・遠慮や気遣いという言葉をご存知ないのかしら?
【鷹】
「なに~?俺に気を使ってんの?別に気にしないから楽にしてていいよ~」
動けない私に気遣いとも取れる言葉をかけてきた
・・・よく分からない
・・・いや、私を女としてではなく自分と同じ人間として認識されているのかもしれない
・・・そうよね
・・・これこそまさに男女平等
・・・いや、やっぱりなんかちょっと違う気がする
【鷹】
「着替えてていいからさ、仕事の話していい?」
そして何食わぬ顔で話を始めようとしている
・・・まぁ、別に隠れるとこは隠れてて素っ裸な訳じゃないし
・・・この程度であれこれ考えるのも面倒か
・・・別にまじまじ見られてる訳でもないし
・・・相手は鷹様だしね
【氷歌】
「・・・問題ありません、教えてください」
止めていた手を動かしながら鷹様に言葉を返した
【鷹】
「この前渡したデータをオヤジが調べて問題ないって事になったから、データで記されていた場所にある、研究所を吹っ飛ばすって事で」
言葉少なに説明をされた
・・・でも、場所に関しては鷹様が把握されているだろうし
・・・研究所という事は違法な実験を行っている組織だと言うことが予想できる
・・・吹っ飛ばすと言う事は制圧という事だろう
【氷歌】
「分かりました、その他に気をつける点はありますか?」
着替えを終え、鷹様と向かい合うように立った
【鷹】
「まぁ、当然の事だけど、情報を持ってそうな人間は可能な限り生け捕り、下っ端の奴らは邪魔するようなら殺しても構わない、素直に降伏すれば確保で」
【氷歌】
「・・・分かりました」
【鷹】
「これはあくまでただの規定だから、その時の状況に応じて自分の判断で行動しろ、自分が死んだら意味ないって事だけ覚えとけよ」
【氷歌】
「・・・はい」
しっかりとした鷹様の言葉に静かにうなづいた
【鷹】
「あと、拉致された一般市民が生きている可能性がある、組織の人間か判断できない可能性が高いから市民だと名乗りをあげても警戒は解くなよ」
【氷歌】
「・・・やはり、この情報は行方不明者に関係するものだったのですか?」
【鷹】
「みたいだね~、まぁ、遺体を残してる可能性は低いから行方不明になった全員が被害者だと確認できないかもしれないけど」
・・・遺体も確認できないか
・・・残された家族からしたら生きてるか死んでるかも分からず、納得もできないままその帰りを待つ事になるのかな
・・・私も昔はそうだったしね
【氷歌】
「・・・・・・・・」
・・・でもそれって
・・・今の鷹様の状況も同じではないだろうか?
・・・あれ?
・・・でも鷹様の待ってる少女は元々存在しないんだっけ?
・・・考えたらまた混乱してきたわ
【鷹】
「初動は俺とお前が掃除して、そのあと軍が動く、まぁ〜こそこそ動いて最後は一気に制圧って感じ?」
【氷歌】
「・・・分かりました」
・・・今の鷹様を見る限りしっかりとされているし
・・・明るくて笑顔も見せてる
・・・ありもしない記憶を作り出すような
・・・精神が参っているような人間には見えない
【氷歌】
「・・・鷹様は普段はお一人で任務などをされているのですか?」
少し探るように話を振った
【鷹】
「ん~そうだね~」
【氷歌】
「・・・なぜですか?普通は数人でチームを組み行動しますよね?」
【鷹】
「なんかさ~チームを組みたければ美羽と結婚しろとか訳分かんない事言い出してさ、だから、全部一人で完璧にやるからうだうだ言うなよって話になったんだよ」
・・・つまり、ルナと言う少女を待つ為には
・・・一人で任務をこなす事以外選択肢はないという事か
【氷歌】
「・・・でも、お一人だと何かと大変ではないですか?」
【鷹】
「ん~?別に?だってさ~、ちょっと怒鳴っただけでパワハラだとか言い出すんだぜ?最悪だろ?」
・・・どうやら鷹様のお話スイッチが入ったらしい
【鷹】
「役に立たない奴に使えないから消えろって言っただけなにのにさ~たまんないよね~」
・・・私が言葉を入れる隙も無く話が進んでい行く
【鷹】
「そんな奴らと組むくらいなら一人で動いた方が効率がいいんだよね~」
・・・それはそうかもしれないわね
・・・うだうだ言う人間がいると気分悪いし
・・・でも、幹部の話だとかなりの深傷を負っても一人で任務を続けられてる
・・・それは容易な事ではないだろう
・・・そこまでしてもお一人での任務を選ばざるおえない状況
・・・それはやはりルナと言う少女の存在
【鷹】
「しかも、俺の言動をいちいち報告書にまとめて出すんだよ、今日はこんな事を言われた~とか、なにもしてないのに殴られた~とかさ、なんか監視されてるみたいで気持ち悪いんだろ?」
・・・確かにそれは気持ち悪いわ
【鷹】
「それを見てさ~いちいち兄貴の名前を出すんだよ、あのメガネ」
そう言って不愉快そうに顔を歪めた
【鷹】
「朱雀様はもっと皆に気遣いをされる方だったとかさ、朱雀様ならこんな事にはならなかったとかさ、兄貴が死んだのは今の俺より年下なのに、兄貴が生きてたらもっと立派になってるとか比べてさ~」
・・・亡くなった人間の未来がどうなっていたかなんて誰にも分からない
・・・でも、だからこそ、残された人間は良い様にしか想像できないのだろう
【鷹】
「子供の頃は仕方ないと思って我慢してたけど最近はもううざいんだよね~、だって、俺は兄貴の代わりで生きてる訳じゃないし兄貴がいかに優秀だったかを測る物差しじゃないしな」
そう言ってニコッと笑った
・・・周囲の勝手な理想で身近な人と比べられながら
・・・それを恨む事なく真っ向から戦っていらっしゃる
・・・なんて立派な方なのかしら
・・・さすが鷹様だわ
・・・素敵すぎるっ!




