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【57話】氷◾️王子様の妄想




◾️◾️氷歌視点◾️◾️

挿絵(By みてみん)



再び裏庭へと降りてきた

そこには、夜の暗闇に染まり始めた街からこちらに向かって歩いてくる鷹様の姿


【氷歌】

「・・・・・・っ鷹様!」


思い切ってその姿に声をかけた


【鷹】

「ん~?お前こんなとこで何してんの?」


私の声に軽く笑いながら応えて下さった


【氷歌】

「・・・どちらに行かれてたのですか?」


平常を装い、笑顔でお尋ねした


【鷹】

「待ち合わせしてたから」


【氷歌】

「・・・どなたと・・・待ち合わせをされていたのですか?」


【鷹】

「女の子だよ、さっき話しただろ?」


【氷歌】

「・・・・・・その方の・・・お名前は?」


【鷹】

「・・・ルナだけど?」


【氷歌】

「・・・・・・・・」


・・・大丈夫よ

・・・別にここまでは普通の事だわ


【氷歌】

「・・・あの・・・お会いする事は出来ましたか?」


期待を込めてお尋ねした


【鷹】

「・・・・・・いや、会えなかった」


・・・大丈夫よ・・・まだ大丈夫


【氷歌】

「・・・・・・朝は会えたのですか?」


【鷹】

「・・・いや、会えなかったよ」


・・・まだまだ大丈夫


【氷歌】

「・・・・・・昨日は・・・お会いになったのですか?」


【鷹】

「・・・いや、会ってない」


・・・大丈夫、大丈夫、大丈夫


【氷歌】

「・・・・・・最後にお会いになったのは・・・いつなのですか?」


・・・絶対・・・そんなはずないんだから


【鷹】

「・・・子供の頃だよ」


・・・嘘でしょ?


【氷歌】

「・・・あの・・・でも、文通とかされてたり」


【鷹】

「いや、してないよ」


【氷歌】

「・・・えっと・・・でも、鷹様は結婚されるのですよね?」


【鷹】

「うん、ルナがいいよって言ってくれたらね」


【氷歌】

「・・・でも、そのルナ様は何処にいらっしゃるのかご存知ですか?」


【鷹】

「わかんないんだよね~・・・何処に行っちゃったんだろ?」


心配そうに視線を下げた


【氷歌】

「・・・探してみてはいかがですか?」


【鷹】

「探したけど見つかんないんだよね」


【氷歌】

「・・・公開で探したら、名乗りを上げる者がいるかも」


【鷹】

「ん~何人かルナだって名乗ってきたけどさ、どいつもこいつも偽物でさ~イラついたがら吹っ飛ばしたんだよね~」


【氷歌】

「・・・夜にその方を探して外に出たり」


【鷹】

「あ~なんかルナの声が聞こえた気がしたんだよね~・・・いなかったけど」


【氷歌】

「・・・・・・・・・」


・・・なにを言っているのだろう?

・・・いや、私はなにを考えているのだろう?


・・・初めからルナの存在を疑ってかかってるじゃない


・・・肝心なとこをまだ聞いてない


【氷歌】

「・・・あの・・・どうしてその方はいなくなったのですか?」


・・・もしかしたら長い長い旅行に行ってるとも考えられる


【鷹】

「・・・分からないんだよ」


が、鷹様は嘆くように視線を下げた


【鷹】

「・・・ルナが住んでた家もなくなってて・・・両親もルナも・・・いなくなったんだ」


・・・意味が分からない

・・・全然分からないわ


【鷹】

「・・・でも、あいつの言葉が本当なら・・・ルナは誘拐されたのかもしれないな」


「・・・いい加減にしてください」


鷹様の言葉と重なるように声が聞こえた


視線を向けると

・・・私がこの場所で一番苦手なメガネの幹部が立っていた


【幹部】

「・・・いつまでそんな人間を待つおつもりですか?」


【鷹】

「・・・お前に関係ないだろ?」


そんな男の言葉に一気に不機嫌そうな様子になられた


【幹部】

「・・・いいえ、ここに住む皆に関係する事です」


【鷹】

「・・・お前らの出す条件はしっかりこなしてやってんじゃん?・・・うだうだ言うなって」


そう言って鷹様は逃げるように屋敷の中に入って行った


【幹部】

「・・・どうしてあの方はいつまでも子供なんだ」


そんな鷹様の姿に嘆くようにつぶやいた


【氷歌】

「・・・あの・・・あの・・・少し説明をしていただいてもよろしいでしょうか?」


混乱する頭を抱えながらお尋ねした


【氷歌】

「・・・そのルナと言う女性は何処にいるのでしょうか?」


・・・まずここからよね


【幹部】

「・・・鷹様の話では10年前にルルーカで起きた暴動から行方が分からないらしい」


・・・暴動

・・・確か多数組織が一斉にルルーカへ戦争を仕掛けた事件ね


・・・街の半分は破壊され人が住むこともできない程に壊滅状態に陥ったと言う話


【氷歌】

「・・・もしかして・・・その争いで亡くなってしまったのでは?」


【幹部】

「・・・私もそう思うが、遺体が発見されなかった、争いに巻き込まれて遺体すら残らなかったのかもしれない・・・だが、鷹様はそれを受け入れないんだ・・・ルナは誘拐されたとか訳の分からない事を叫んでね」


ため息をつきながら言葉を続けた


【幹部】

「・・・そもそも、ルルーカの住民にルナと言う少女が住んでいたと言う記録は残っていなかった・・・亡くなったと言う以前に初めからそんな少女はルルーカに住んでいないはずなんだよ」


・・・確かルルーカに家を持ち、住むとなれば住民の登録は必要なはず

・・・子供であっても親と共に登録されるはずだし

・・・この国で生まれたのであれば出生届けから始まっているはずだわ


【幹部】

「・・・仮に何かの不備で登録が抜けていたとしても・・・その少女を知ってる人間は誰も生きてはいない・・・鷹様の口からしかその少女は出てこないんだ」


【氷歌】

「・・・でも、鷹様は誘拐されたと仰っているのですよね?・・・なら、その犯人さえ見つかれば」


【幹部】

「・・・それもなんの根拠もない・・・暴動が起きた時、鷹様はこの家にいらしたんだ・・・それはゼル様を始め、生き残った全員が証言しているから間違いない・・・その少女が誘拐された事が鷹様に分かるはずないんだよ」


【氷歌】

「・・・・・・・・」


【幹部】

「・・・しまいには、その事は知り合いから聞いたんだとか言い出してね・・・それは誰なんですかとお尋ねしても言いたくないとしか答えない」


・・・どうして鷹様はその人の名前を言わないのだろう?

・・・言ってしまえば自分の言葉を証明できるのに


【幹部】

「・・・正直、誰も鷹様の言葉なんて信じていない・・・そんな少女は初めから存在しないんだよ・・・おそらく、記憶が混乱してるんだろう・・・朱雀様さえいらしてくれたら鷹様には自由にしていただいて構わないが・・・今は鷹様にもっと大人になっていただかないと」


【氷歌】

「待った!・・・朱雀様ってどなたですか?」


愚痴のようになってきた幹部の言葉を止めた


【幹部】

「・・・鷹様のお兄様だ」


・・・初耳だわ

・・・鷹様にお兄様がいらしたなんて


【氷歌】

「・・・お兄様は、今どちらに?」


【幹部】

「・・・お亡くなりになられた・・・10年前の暴動で・・・鷹様と紗羅様の目の前で首を切られたようだ」


【氷歌】

「っ・・・・・・」


【幹部】

「・・・沙羅様もその暴動の際に瀕死の傷を負ったがなんとか取り留められた・・・だが、首を切られた朱雀様には手をほどこす事すらできなかった・・・自分の目の前で母が切られ、兄を殺されては・・・子供心に癒えぬ傷を負ってしまわれたのだろう」


【氷歌】

「・・・・・・・」


【幹部】

「・・・それまでは動物や花が大好きな心優しい方だったのに・・・その暴動の後から鷹様は人が変わったように暴言を吐き・・・人を見下すように横暴になられた」


・・・知らなかった

・・・鷹様にそんな事があったなんて


【幹部】

「・・・初めは精神が落ち着かないのだろうと皆、同情しら鷹様に配慮していたが・・・それが逆に鷹様を悪い方向へと向かわせたのかもしれないな」


・・・同情に・・・配慮か

・・・どこの国でも、家族を亡くした人間にする行動は同じなのね


【幹部】

「・・・ここまでルルーカが復興したのはゼル様のお力があってこそ・・・これ以上、鷹様の自由な行動でこの家の名を汚してもらっては困るんだ・・・ゼル様が必死に築いて来たものを鷹様は壊そうとしている・・・それに鷹様は気づこうともされていない」


首を横に振り、嘆くように言葉を発し


【幹部】

「・・・お前に頼みがある・・・お前からも現実をしっかりと見るように鷹様に伝えてくれないか?」


とんでもない頼みをされた


【氷歌】

「えっ!?ど、どうして私がっ」


【幹部】

「・・・正直、この家で鷹様とまともに話ができるのはゼル様とお前とミーナくらいなんだよ・・・他のものは誰も鷹様に近づこうとされないしな」


そう言って気まずそうに視線を下げた


【幹部】

「・・・ここ数年では、任務に行くのも鷹様はお一人で行っている・・・誰も鷹様に付いて行こうとしないんだ・・・美羽様と結婚されれば美羽様の人柄でそんな周囲との距離も近くなると思って提案をしたが・・・俺はルナとしか結婚しない、一人でやるから自由にさせろとしか言わない」


愚痴をこぼすようにため息をついた


【幹部】

「・・・いつか弱音を吐くだろうと一人で任務をさせていたが・・・傷ついた体を引きずってでも任務をこなしてね・・・私の判断とは言え、さすがにその姿には心が痛んだよ」


・・・・ほんと自分がやらせてくせによく言うわ


【幹部】

「・・・そんな鷹様を見かねてかゼル様が技能者を付けるよう命令を出したんだ」


・・・それで私はここにいるってわけか


【幹部】 

「・・・とにかく、存在したかも分からない少女の存在で美羽様との縁談が破綻になるのだけは避けたい・・・お前も鷹様の技能者になりたいと思うのなら何が一番、今の鷹様の為になるのかわかるだろう?・・・頼んだぞ」


そう言って私の肩を叩き、早々に立ち去った


【氷歌】

「・・・・・・・」


・・・なに?私にどうしろって?


ルナという少女は存在しないらしいですよ


とでも言えと?


【氷歌】

「・・・・言えるわけないから」


誰にいうでもなく首を振った


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