【54話】お姫様の想い
◾️◾️氷歌視点◾️◾️
足早に街を抜け、遠回りをして屋敷の裏庭へと戻ってきた
【氷歌】
「・・・なんで裏から入るの?」
私の前をどんどん歩くミーナに尋ねた
【ミーナ】
「・・・ん~私の顔を見るなり、文句を言ってくる人たちがいてね~・・・できれば顔を合わせたくないのよ」
苦笑いで小さく答え
【ミーナ】
「・・・ちゃんと契約書は交わしてるのに・・・逆恨みよね~」
ため息混じりに嘆いている
・・・ある意味この子も人から嫌われているのだろう
【ミーナ】
「あ!美羽ちゃん!」
ミーナの声に目を向けると美羽様が技能者と共に魔法陣の扉へと入って行くところだった
【美羽】
「ミーナさん、お久しぶりです」
ミーナの姿に優しげな笑顔で頭を下げた
美羽様に駆け寄って声をかけるミーナに私も続いた
【ミーナ】
「鉱石受け取ったよ~!ありがとね~!助かるわ!」
【美羽】
「お役に立てたのなら良かったです、また必要があればいつでも仰ってください」
・・・何故かしら?
・・・ミーナと並ぶと更に美羽様の輝きが増す気がする
【ミーナ】
「・・・美羽ちゃんさ~結婚なんて嫌ですって言った方がいいよ~」
突然嘆くようにミーナが話を始めた
【ミーナ】
「鷹くんと結婚なんて絶対やめた方がいいって!美羽ちゃんならもっといい人いるよ~」
・・・これは鷹様を侮辱しているのだろうか?
【美羽】
「・・・鷹くんと私が結婚する事はないですよ」
そんなミーナに優しげな言葉で返し
【美羽】
「だって、鷹くんには心に決めた方がいますから」
そう言ってニコッと笑った
・・・その言葉に少し驚いた
・・・鷹様に意中の相手がいらっしゃる事をご存知なんだ
【ミーナ】
「・・・あ~・・ん~・・・いるのかな?」
が、何故かミーナは苦笑いで首をかしげた
【ミーナ】
「まぁ〜!鷹くんも頑張ってるみたいだし鷹くんとの政略結婚はなくなるのかな~?でも、鷹くんとの縁談がなくなっても美羽ちゃんは他の人と結婚ってなるのよね?」
【美羽】
「・・・そうですね・・・でも、政略結婚じゃないですよ」
ミーナの言葉に小さく頷いた
【美羽】
「・・・鷹くんとなら政略結婚と言う言葉は私には当てはまりません」
夕焼けに染まった空を背にする美羽様はとても綺麗で
【美羽】
「・・・私は鷹くんのお嫁さんになるのが子供の頃からの夢でしたから」
少し照れたような笑顔は女の私でも可愛いと思えた
【ミーナ】
「・・・・・・・え・・・あ・・・そうだったんだ?」
美羽様の言葉は予想外だったのか戸惑ったように声を発した
【ミーナ】
「ならさ!鷹くんが諦めるまで待ったら!?あと数年もしたら諦めるんじゃないかな~?」
【美羽】
「・・・それは、ないと思います」
ミーナの慌てたような言葉をはっきりと否定し
【美羽】
「・・・鷹くんはずっと・・・永遠に彼女を想い続けると私は思います」
【ミーナ】
「・・・・・・・・・・・」
美羽様の言葉にミーナは言葉を失ったように視線を下げた
【美羽】
「・・・少し羨ましいですね」
そんなミーナから視線そらすように目をつぶり
【美羽】
「・・・鷹くんから永遠に愛されているその子が・・・羨ましいです」
そう言って優しげな笑顔で微笑んだ
【美羽】
「・・・そんな感情を持っているから私は・・・きっと鷹くんには相応しくないのだと思います」
【ミーナ】
「・・・そんなことないって・・・そんなの普通だよ」
美羽様の言葉に絞り出すようにミーナが言葉を返した
【美羽】
「・・・でも、そんな風に人を真っ直ぐに愛せる鷹くんが私は大好きなんです・・・矛盾してますよね」
そう言って少し困ったように笑った
【美羽】
「・・・氷歌さん」
【氷歌】
「っはい・・・・」
突然声をかけられ慌てて返事をした
【美羽】
「・・・鷹くんの事、守ってあげてくださいね」
たった一言のその言葉には深く込められた願いを感じた
【氷歌】
「・・・はい・・・必ずお守りします」
そんな美羽様に深く頭を下げ、返事を返した
【美羽】
「・・・また、お会いできる事を楽しみにしてます」
そう言って美羽様は魔法陣の部屋へと入って行った
そして、その後に続くように技能者も歩き出し
【ささら】
「・・・鷹様と契約した技能者として貴女に会える事を楽しみにしてます、頑張ってくださいね」
優しく微笑みながら私に言葉をかけ魔法陣の部屋に入って行った
【氷歌】
「・・・・・・・」
そんなお二人の姿に
・・・何故か自分の幼さと小ささを感じた
・・・それは見た目とかではなく
・・・心、精神・・・そんな感じ




