【51話】青◾️幼馴染のお姫様
◾️◾️鷹視点◾️◾️
テラスに出ると夜へと向かう夕焼けが優しい風を運んできた
【鷹】
「悪かったね~面倒かけて」
【美羽】
「ううん、私も氷歌さんに会って見たかったから」
並ぶ様にテラスに立つ美羽は俺の言葉に嫌な顔一つせず言葉を返してくる
【鷹】
「でも、お前も大変だね~下らない噂でいちいち動かされて、俺以外の候補のとこにもわざわざ出向いてんだろ?」
【美羽】
「・・・うん」
【鷹】
「はっきり言っちゃえばいいのに、結婚なんてしたくないって」
【美羽】
「・・・でも、私はしたくない訳じゃないから」
【鷹】
「え?そうなの?」
【美羽】
「・・・うん」
そう言って柔らかい髪を風に漂わせ、下に広がる街へと優しげに視線を向けた
【美羽】
「・・・大変なおもいをして生きてる人たちが沢山いる世界で・・・私は生まれた時から恵まれた世界を生きさせて貰ってる・・・それなのに、街のみんなは私をいつも愛してくれる・・・そんなみんなに私が出来る恩返しはそれくらいしかないから」
その笑顔には一つの曇りも感じなかった
【鷹】
「・・・さすがは一国のお嬢様、言うことが違うね~立派だな」
その姿に正直圧倒された
【美羽】
「・・・私は鷹くんみたいに頑張れないから」
・・・頑張ってるか
【鷹】
「・・・俺は頑張ってんのかな?・・・俺には・・・お前の方が頑張ってるように見える」
・・・美羽のように人の期待に答えようとす人間
・・・その人間こそ評価され、讃えられる人間だろう
・・・なら、俺は
【鷹】
「・・・俺は・・・逃げてるのかも」
【美羽】
「・・・ダメだよ」
俺の言葉を塞ぐように言葉を返してきた
【美羽】
「・・・鷹くんが自分を否定したら・・・鷹くんの大切なものを全て否定する事になる・・・そんなの鷹くんは嫌でしょ?」
そう言ってニコッと笑った
【鷹】
「・・・そうだな」
そんな美羽の言葉に自然に笑がこぼれた
【鷹】
「・・・お前、やっぱ立派になったわ」
同じ年で、同じような世界に暮らしているのに
自分の置かれた状況を悲観することなく真っ直ぐに生きてる
【鷹】
「お前なら絶対良い人間と結婚できるよ」
・・・そうであってほしいと願わずにはいられなかった
【美羽】
「・・・そうかな?」
【鷹】
「うんうん!お前すげー綺麗になったしな!」
【美羽】
「・・・ありがとう」
俺の言葉に少し遠慮がちに小さく微笑んだ




