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【43話】氷◾️大嫌いなモノ


◾️◾️氷歌視点◾️◾️

挿絵(By みてみん)



昨日と同じ森の中、昨日と同じ道を辿る

・・・でも


【鷹】

「・・・・・・・・・・」


昨日とは違い、鷹様は不機嫌そうに黙っていた

・・・そして


【ミーナ】

「・・・くっ・・・くくくく」


鷹様を不機嫌にさせている人物の薄気味悪い含み笑いが背後から聞こえる


【ミーナ】

「・・・これをこうして~」


嬉しそうにも聞こえた言葉の後に何かの苦しむ声が聞こえ、メリメリと何かを剥ぎ取る音が聞こえる


【氷歌】

「っちょっと・・・いい加減にしてよ」


鳥肌が立つ音に我慢できず、視線を向ける事なくミーナに言葉を向けた


【ミーナ】

「このベビの皮って珍しいのよ~来て良かった~」


軽蔑の感情を押し出した私の言葉を無視するように喜びの声をあげている


・・・森に入ってから、ミーナは様々な昆虫や爬虫類を捕まえては

・・・様々な部位をバリバリ、メリメリ奪い取り


【ミーナ】

「・・・うひひひ・・・ポケットの中でうじゃうじゃしてる~」


・・・人間性を疑うような含み笑いをしている

・・・いや、疑うでは無く、確実におかしいわ


【鷹】

「・・・キモい」


不愉快そうに鷹様がつぶやいた


【氷歌】

「・・・恐ろしくキモいですね」


その言葉に静かに賛同した


【鷹】

「・・・お前も虫嫌いなの?」


少し意外そうに尋ねられた

虫は確かに嫌いだ

が・・・虫が嫌いでなくともミーナはキモく感じる行動だと思う


【氷歌】

「・・・実は苦手ですね・・・故郷は気温が低くて・・・虫と言うものには無縁でしたので」


氷の技能者でないなら寒く感じるであろう環境

虫と言うものに関心を向けないほど、虫は存在しない環境だった


【氷歌】

「・・・なので、初めてルルーカへ向かう山中は地獄でした・・・奇怪な虫だらけで」


それが本当に虫と言うカテゴリに区分して良いのかも分らないような奇怪な生き物の宝庫


・・・枯れ木を這い回るカサカサとした音

・・・何かが落ちてくるぽとっとした音

・・・私を囲う様に飛び回る羽音

・・・視覚で寒気を感じ、聴覚で鳥肌が立ち、身動きがとれなくなる恐怖を感じた


【氷歌】

「・・・今はだいぶ慣れましたが・・・触れと言われれば断固拒否します」


・・・その奇怪な虫を触っている自分を想像しただけで鳥肌が立った


【鷹】

「・・・だよな~、触れとか言われたら殴っちゃうな、俺」


・・・きっと私も、殴ってでも拒否するだろう

・・・いや、そんなふざけた奴は必要以上にボコボコにしてやる


【ミーナ】

「ちょっと!見てよあれ!!」


はしゃいだようなミーナの大声に思わず視線を向けると


・・・凛として立つ巨木に10センチはありそうな巨大なダンゴムシらしき生物が所狭しと大量に張り付いていた

・・・まるで木の一部のように黒光りするボコボコとした断面が蠢くように波打ちカサカサと音がする


【鷹】

「・・・うわっ・・・見ちゃった」


その鳥肌を通り越してかゆみを感じる光景に苦悩するように嘆いている


・・・私はおぞましすぎて声も出せなかった


【ミーナ】

「いや~!立派ね~!」


そんな私たちをよそに鼻歌混じりに波打つ巨木に近づき


【ミーナ】「うりゃー!!」


可愛らしい掛け声を上げ、巨大なダンゴムシを一匹、木から剥ぎ取った

剥ぎ取られたダンゴムシは焦ったように無数の足をうじゃうじゃと動かしている


【ミーナ】

「よいしょ!」


そして、勢いを付ける掛け声と共に

・・・巨大なダンゴムシの背を反りかえすようにおりあげた


【氷歌】

「うげっ・・・・」


流石にそれ以上は見ていられず、鷹様と同じ様にに体ごと視線を背けた

背後からは上機嫌なミーナの鼻歌と共に

耳鳴りのように聞こえる苦しみの鳴き声と

エビの殻を剥くようなバリバリとした音が周囲に響いている


【鷹】

「・・・もう二度とアイツと外に出ない」


不機嫌そうに呟く鷹様の言葉に


【氷歌】

「・・・同感です」


静かに心からの賛同を返した


【ミーナ】

「ねぇねぇ~、さっきから感じてたけど、なんかいい匂いしない?」


私たちの拒絶などお構いなしに平然と話しかけて来た


【鷹】

「・・・いい匂いに感じてんのはお前だけだ」


そんなミーナに不愉快そうに言葉を返された


・・・鷹様の言葉通り、ミーナの奇怪な行動で取り巻くように生臭いような異臭が周囲を覆っていた


【ミーナ】

「防衛臭じゃなくて~、なんか、香ばしい匂いがしない?」


・・・そんな匂いするわけない

と、思ったが


【鷹】

「・・・・・・・・・・」


鷹様が何かを感じたように空を見上げた


【氷歌】

「・・・・・・・・・」


それに釣られるように私も空を見上げたが

そこにはなにもない

・・・でも


【鷹】

「・・・確かに・・・するな」


微かにだが、ミーナの言葉通り、何かを焼いている匂いを感じた


【鷹】

「・・・行くぞ」


それを感じてか、硬い表情で少し焦った様に鷹様が歩き始めた


【氷歌】

「・・・・早く来なさいよ」


そんな鷹様の様子に背筋が伸び、ミーナに一言声をかけ、足早に鷹様の後に続いた



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